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なぜですか!? 5

”よおし。そのまま追いかけておいで!”

私の願いは通じ、追いかけてきた犬様二匹の走りも、いよいよトップスピードに乗ってくれました。
私は中型犬様に話しかけました。

”大丈夫? あと少しだからね!”

一緒に走っていることで、先程まで抱えていた不安や心配を忘れることができたのかもしれません。
連れている中型犬様は、生き生きとした、たのしげな表情を返してくれました。

何度もお世話を承らせて頂いている故、この展開も想定済みで、私の思惑通りに事が運びました。
あとは、目指す場所に辿り着けば、万事が上手くいくはずです。

そんなこんなで、こちらと犬様二匹の距離が10mちょっとに縮まった時です。
私と中型犬様は、目指していた場所付近に近づきました。

すると、その辺りに座っていた人物は、呑気な様子で顔を上げました。
その人物というのは、私と中型犬様を追いかけている犬様二匹の飼い主様です。

近くに寄ってはっきりしましたが、飼い主様は、中年の女性でした。
手にはスマフォを握っていて、やはりそれをいじっていたようです。
しかも、イヤフォンを両耳に突っ込んでいました。

通りで、自分の犬様二匹が他人に危害を加えてしまうかもしれない緊急事態に気づかないわけだ……。

心底呆れて落胆した私は、走っている速度を落としながら、大声で注意しました。

「あなた、飼い主様ですよね!? あの二匹の!?」

この期に及んでも、私がした注意の意味が分かっていないようで、飼い主様は呑気に首を傾げました。

「二匹に追いかけられているんです! 早く大人しくさせてください!」

更なる大声で注意した私の言葉に、飼い主様はようやく事態を把握したようでした。

「……ああ……〇〇! △△!」

二匹の犬様の名前であろう声を張り上げ、飼い主様は立ち上がりました。
私と中型犬様はその脇を通り過ぎ、およそ5mくらい離れた位置で立ち止まりました。
この位置ならば、飼い主様が楯になって二匹の犬様を制御してくれるだろうと踏んだからです。

「こらっ! 〇〇! △△! 止めなさい!」

飼い主様は、半狂乱の如く叫びました。
すると、二匹の犬様は、飼い主様を挟んだ位置で走るのを止めました。
ですが、興奮冷めやらない二匹の犬様は相変わらず吠え続けているので、いつまた襲ってくるか予断を許さない状況といえました。

私は中型犬様の前に立ち、いざ襲われた時に備えて呼吸を整えました。
飼い主様に犬様二匹を制御をしてもらう作戦が上手くいかなかった場合、最悪、咬まれることも視野に入れました。

何が起ころうとも、連れている中型犬様を守る!

私は覚悟を決めました。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉