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サンタクロースからの贈り物 3

沈思黙考する私をYが急かした。

「M動物病院への返答はどうしますか?」

私は時計に目をやった。

「この時間ならもう繋がるはず。とりえずNに連絡入れてみるからこの子をお願い」
「了解しました!」

丁寧すぎる程に頭を下げたYはお泊りワンちゃんと遊ぶ為にフリースペースに入った。

「一緒に遊ぼうね! よろしくお願いします!」

ワンちゃんが尻尾をフリフリYとじゃれ始めたのを横目に、私はシッターサービスで外出中のNの携帯を鳴らした。
同時にスケジュール帳をめくって確認しながら髪をかきむしった。
ダメだ。
どう考えても受け入れは難しい……。
年の瀬が迫っていたこの時期、予約でびっしり埋まっているのは分かっていた事だったが、迷子のボーダーコリーを想うとやはり溜息が出た。
だが他のご宿泊予定のペット様の事を考えれば、健康状態やワクチン接種等の確認が取れない迷子のボーダーコリーをホテルで預かるわけにはいかない。
加えて、どのスタッフも担当ペット様のお世話予約が一杯で、人員的にも担当できる余裕がない。
もう一度溜息を吐いたところでNが電話に出た。

「お疲れ様です。無事にお世話が終わって帰社中だけど、どうかした?」
「お疲れ様です。あのね、急用なんだけど今電話してて平気?」
「買い物の頼みかなんか? お駄賃くれるなら頼まれてやってもいいけど」
「ごめん、ふざけてる場合じゃないんだ」
「迷子ペット?」
「そう。今さっきM動物病院から連絡があって……」

瞬時に察して声が低くなったNに事情を説明した。
いきついた返答は私と同じだったらしく、Nも一つ溜息を吐いた。

「あとどれくらいでお店に着く?」
「もう着く」

ほどなくして来店を告げるチャイムが鳴った。
急いだ模様で、Nは肩で息をしている。

「お疲れ様です!」

Yの出迎えを片手で答えたNは手洗いと消毒をしながら私に尋ねた。

「スケジュール的に無理があるんだろう?」
「そう。だからって放ってもおけない」
「とりあえずM動物病院に電話して、ボーダーコリーを保護してるTさんと直接話が可能か聞いてみて。保護した経緯や状況、今後どうするお気持ちでいるのかをヒアリングする必要があるし、実際にそのボーダーコリーにも会ってみなきゃ最善策の判断がつかないし」

今日はもう帰宅予定だったはずのNだが、そのつもりは微塵もないようだった。
Yはワンちゃんのペロペロ攻撃に至福の笑みを浮かべている。
根っからの動物想いのスタッフに恵まれている事にあらためて感謝を覚えながら、私はM動物病院に電話を入れた。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉