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サービスエリアの空の下 104

数瞬をいくつも重ねて待ったが、F様から再びの着信はなかった。
仕方がない。
私は車のドアロックを閉め直し、張り込み場所に向かうべく、顔を上げた。

すると私は、駐車スペースの向こうに、二つの人影を認めた。
それらは、小走りでこちらに向かってくる。

あっ……。

人影の正体を私が認識すると同時に、人影の一方が私に向かって手を振ってきた。
続いて、もう一方の人影が笑みを浮かべながら、会釈を投げてくる。
懐かしいというほど時間が経過しているわけではないが、見知った顔のF様とA様だ。
想像していなかった展開に、高揚気味の私から声をかける。

「どうも! どうも! お二人とも、どうしてここにいらっしゃるのですか!?」

笑顔を弾ませている二人のうち、先に口を開いたのはA様だった。

「これを届けに来たんです!」

差し出されたのは保冷バックだった。

「もしかして、これは……」
「Kの手作り食です!」

F様が割って入り、得意げに付け加える。

「さっきの電話で、Kの手作り食が底をついてしまいそうだと仰っていましたよね? そうなることを見越して、サプライズでお届けにあがりました!」

なんとうれしいことか。
親切心で手作り食を届けに来てくれたらしい。

それにしても、だ。
どうやら二人は、先ほどの電話の時点で、すでにサービスエリアに到着していたようである。
電話が切れる間際の、F様とA様の意味深な笑い声の意味はこれだったのかと理解した私は、謝辞を述べた。

「ありがとうございます。助かります!」
「よかった。よかった。届けに来た甲斐があります」

そういいながら、Kちゃんの手作り食が入った保冷バックを、A様は私に渡してきた。

「すぐに使える分用が半分で、残り半分は凍らせてあります」

どこまでも気が利く。
おかげで、今日一日、残りの量を気にせずにすむ。

「大切に使わせて頂きます」
「どうぞ、役立ててください」

私とA様が話す傍らで、F様はべつのなにかに興味を引かれている。
さりげなくその視線を辿ると、私の車に向けられていた。
A様もそれに気づき、F様に代わって、その興味の理由を私に説明した。

「この人、保護した猫ちゃんを見たいんですよ」
「ボクだけじゃないだろう? 自分だって、見たいっていってたじゃん!」

仲裁に入りながら、私はいった。

「親子二匹は、車内にいますよ」
「見てもいいですか!?」

いかにも待ち遠しいといった感じで聞いてきたF様に、私は頷いた。

「構いませんよ。ただ、二匹は今さっきは眠っていましたし、お二人とは初対面になりますので、驚かせないようにそっと覗くだけにしてあげてください」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉