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サービスエリアの空の下 11

「私は話し合いに応じた方がいいと思いますし、そうするべきだと考えます。確かに、彼ら三匹を遺棄した事実には憤りを覚えます。ですが、飼い主様がいて、返還要求をされたのであれば、話し合いに応じてください。その結果、正式に譲渡される方が、後ろめたさを抱えたまま暮らしていかなくて済むのではないでしょうか? その後の要らぬトラブル防止にもなりますし」
「それは……そうですね……。分かりました。話し合いに応じると約束します」
「ご理解頂き、ありがとうございます」

私が微笑みかけると、男性は期待交じりの上目遣いで聞いてきた。

「……それで、その……この子ら三匹の保護を手伝って頂けますか?」

三匹の猫様となのか、男性となのかは分からないが、これも何かの縁だろう。
私は頷いた。

「いいですよ。私でよければ、協力致します」
「ありがとうございます!」

一気に表情を明るくした男性の声が大きかったので、白猫様とキジ白猫様たち皆の視線がこちらに集まった。

”大丈夫。大丈夫”

三匹の猫様たちに目くばせすると、それぞれは落ち着きを取り戻し、再び自由気ままに振る舞い始めた。
その様子を見届けた後、私は男性に伝えた。

「ただし、ですね。今すぐの協力は難しいのです。実は、これから所用がありまして、もう出発しなければいけませんので……」
「あ、そうですよね。出掛けの用事がなきゃ、サービスエリアにいるわけがありませんものね」
「申し訳ありません」
「いやいや。ご協力の約束をして頂けただけで助かります。どうぞ、用事を済ませに行ってください。なあに、三匹はここでずっと暮らしてきたんです。急にいなくなったりしませんし」
「では、一先ず、失礼させて頂きます。所用を済ませた後に戻って参りますが、お仕事は何時までですか? 所用を済ませた後に戻ってこられるとしたら、そうですね……早くて三時間から四時間後になってしまいますが」
「その点は気になさらんでください。もしも、お宅さんが戻ってくる前に勤務時間が終わっても、適当に時間を潰していますから。どうせ独り身なんで、いつ家に帰っても問題ありませんし」

男性は、からっと笑い飛ばした。

だが、その笑い声の裏に、一抹の寂しさが滲んでいるのを私は見た。
老いて独り身のこの男性にとって、三匹の猫様の存在は、今や心のよりどころとなっているのかもしれない。
だとすれば、三匹の猫様が車に轢かれてしまったり行方不明になってしまう前に、早期に保護して、男性の家で共に暮らさせてあげたいと思った。

「では、出発させて頂きます」
「はい。お気をつけて行ってらっしゃい」

お互いの携帯番号を交換し、私は自分の車に急いだ。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉