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サービスエリアの空の下 110

私は迷った。
過去ブログ『サービスエリアの空の下 109』の文末で述べた通り、私が住宅街に赴くことはやぶさかでない。
けれども、F様とA様をこのサービスエリアに残す場合には、多少のデメリットとリスクを伴うであろう。
仮にキジ白猫様の姿を目撃したとしても、二人には、それ以上やれることがないからである。
キジ白猫様が草むらの中に入ってしまえば、尚更だ。

それに加えて、サービスエリアを訪れている不特定多数の人間が、キジ白猫様になんらかのエサを与えてしまうのを防ぐ際、相手によってはトラブルになりかねない問題も残る。
その点でいえば、実際にサービスエリア内で働く男性は正規の職員なので、一般人のF様やA様が注意するよりも、彼に任せたいところだ。

上記を含めた色々を考えた挙句、私は男性に電話をかけることにした。
私が住宅街に赴くにせよ、べつの方法で捜索を行うにせよ、F様やA様と男性を事前に引き合わせておくに越したことはない、と思ったからだ。
そのついでに、なにかが起きた場合(たとえばキジ白猫様が草むらの中に入って行った・キジ白猫様にエサを与えようとしている人物がいたなど)に備えて、お互いの電話番号の交換だけでもしておいて欲しいとも思う。

そう決断すや否や、私はスマフォを操作した。
相手を呼び出す電子音のコールが十回目を数えた時、ようやく男性が電話に応答した。

「あ、すみません……」

開口一番、謝罪を述べた男性の声はくぐもっている。
その様子から、幽霊状態の”シロ”くんをまだ見つけられていないのだと察した私は、言葉を選びながら会話を進めた。

「今、お電話していても平気ですか?」
「あ、はい……」
「今、どの辺りにいらっしゃいますかね?」
「まだ、草むらの中にいます」
「そうですか」
「すみません……」
「いえいえ」
「なにか、進展があったんですか?」
「いや。主だったものは特に」
「そうですか……」
「ちなみに、車内の二匹の件ですが、大丈夫そうでしたよ」
「よかったです」
「ところで、捕獲器の様子ってどうなっていますかね?」
「あ……まだ、確認していません。捕獲器の近くにはいなかったもので……」
「そうなんですね」
「でも、捕獲器の閉まる音は聞こえていないと思います」
「分かりました」
「……いい加減、もう戻った方がいいですよね?」
「まあでも、こちらはなんとかなりそうなんで」
「……といいますと?」
「実は、その件に関係することでお電話を差し上げたのです」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉