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サービスエリアの空の下 15

「ですから、御礼はもう頂戴しましたので、これ以上は結構です」

はっきりと拒否を示した私の言葉に、男は尚も食い下がってきた。

「お願いします! そこをなんとか……」
「でしたら、教えてください。自分がKちゃんの本当の飼い主様ではないことを私に告げた意図はなんですか?」
「それは……その……」
「仮に、盗む目的などの悪意があってKちゃんを捕まえたのだとしたら、私にそれを伝えてしまっては、何らかのきっかけで本当の飼い主様の耳にも入る可能性がありますよね? にもかかわらず、Kちゃんの飼い主様ではないことを自ら白状しました。私には、それがどうしても分かりません」
「盗むなんて、とんでもないです。悪意だって、一つも持ち合わせていません」
「であるならば、先ほどから質問をしていることに対しての明確な答えを、私が分かるように説明をしてください、と申しているのです。そもそも、あなたは何者なのですか? F様という名前は本名ですか?」

その説明如何では、この男からKちゃんを奪還する方法が異なってくる。
なので、

・柔軟な態度を演じ続けながら、あえて男との接触を試み、隙を見てKちゃんを奪還する方法
・強気な態度をちらつかせながら、男の要求を自白させ、粘り強く交渉してKちゃんを奪還する方法

などを想定しながら、私は男の言葉を待った。

すると男は少しの沈黙後、説明を始めた。

「……ボクは、その……Kの本当の飼い主と知り合いの者です。Fというのも本名に間違いありません」
「どんな知り合いなのですか?」
「その……なんていったらいいか……」
「親しい間柄なのですか?」
「うーん……まあ、多分……いや、でも、これから先はなんとも……」

F様のはっきりしない物言いを終わらせるために、こちらからの追及を私は続けることにした。

「あなたと本当の飼い主様が親しい間柄ならば答えられると思うのですが、今現在、本当の飼い主様はどこで何をしていらっしゃるのですか?」
「今どこだろうな……分からないけれど自宅にはいません。あ、でも、ボクからの連絡は今か今かと待っているはずです……」
「待ってください。本当の飼い主様は、Kちゃんの捜索に同行していないということですか?」
「はい……」
「愛情を注いで共に暮らしてきたKちゃんを、なぜに捜していないのでしょうか? 何か理由があるのですか? 例えば、仕事中ですとか。それともう一つ。本当の飼い主様に代わって、あなたがKちゃんの捜索を行っていた理由も教えてください。『どうしても、Kを捕まえたかったからです』という理由だけでは、まだ納得できていませんので」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉