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サービスエリアの空の下 17

Kちゃんの逸走をF様から聞かされたA様のリアクションは先ず、絶句だったという。
次いで、F様に、

「……それで、今、何をしているのよ?」

と聞いてきたそうだ。

F様はふざけているわけではなく、Kちゃんのことを聞かれたのだと勘違いし、『……えっと……暗い所に隠れてじっとしているケースが多いらしいよ、はじめて外に出ちゃった猫は。色々調べてみたんだ、一応』と答えようとしたらしい。

けれども、

「……えっと……暗いところに隠れてじっとして……」

と話している途中で、A様に遮られた。
A様は、F様自身が”今、何をしているのか”尋ねたつもりだったからだ。
だからA様は、『暗いところに隠れてじっとして』いるのをF様の行動だと思い、

「はあっ!? 落ち込んでいる暇があったら、早くKを捜しなさいよ!」

と激昂したらしい。

それに対しF様は、自分なりに一生懸命捜していることを告げたが、A様としてはそれで満足するはずもなく、

「猫のことをろくに知らない人間が、迷子になったKを見つけられるわけないでしょ!」

と怒りを露わにした。
そして、

「もしも、私が出張先から帰宅するまでにKを無事に保護できなかったら、同棲は解消。もちろん、婚約もなかったことにするから!」

と通告したそうだ。

その通告によってF様はいよいよ絶望に陥り、私を頼ってきたらしい。

ちなみに、A様が出張から帰宅するのは今晩だという。
ならば、今現在Kちゃんは無事に保護できている以上、問題はなさそうである。
そのことについて聞いた私に、F様はいった。

「もちろん、Kを無事に保護できたことは、すでにAに伝えています。A本人も、心の底から安堵しているようでした」
「でしたら、もう大丈夫なのでは?」
「それがですね……『Kを無事に保護するためにアドバイスをくれた命の恩人に、直接御礼を伝えたい!』って、Aは強く希望しているんです」
「はあ……」
「いや、ボクは『多分、お忙しいだろうから……』って、Aを諭したんですよ。そしたら今度は、『来てもらえるように説得できなければ、Kを連れて家を出るから!』って……」

A様の通告は随分と極端だなあ、と思った。
同時に、逃がしたのは自分という負い目がある上に気弱な性格なので、F様には返す言葉がないのだろうことも察しがついた。
なによりも心配なのは、A様とF様が仲違いした雰囲気のままだと、共に暮らすKちゃんに悪影響であることだ。

仕方がない。
これもKちゃんとのご縁だろうし、同時にKちゃんからのSOSだと割り切った。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉