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サービスエリアの空の下 19

A様とF様の話によると、結局、私が訪問する日の午前中にかかりつけの動物病院へKちゃんを連れて行ったらしい。
一先ずの診断結果は良好で、お二人共に安心なさっていた。

そんなふうにしてA様やF様とひとしきりの会話を終えた頃、私は切り出した。

「それでは、そろそろお暇させて頂きます」
「え、もう帰ってしまうのですか? せっかくお越し頂いたので、Kを保護するのにご協力して頂いた御礼に、食事をご馳走しようと思っていたのですが……」

A様のお気遣いに、私は断りを入れた。

「ありがとうございます。けれど、お気持ちだけ頂戴致します。この後、別件の用事がありまして」
「迷子になっているペットを捜しに行かれるのですか?」
「いえ。実は……」

サービスエリアで出逢った猫様三匹のことと男性のこと、これからサービスエリアに戻って保護のお手伝いをすることを、私はかいつまんで話した。

「そんなことまでお引き受けするのですね。すごい」

そういったF様に同意しながら、A様が被せてきた。

「三匹の猫ちゃんたちも、その男の人も、みんなラッキーですね」

しっくりこなかった私は、A様に聞き返した。

「ラッキー……ですか? それはなぜです?」
「だって、任せておけば、絶対に保護してくれそうですから。Kの時みたいに」
「そうだったら良いのですが……残念ながら、”絶対”ではありません」
「そうなんですか?」
「逸走してしまったペット様を無事発見・無事保護するためには、迅速かつ適切な捜索着手が望まれます。とはいえ、ほとんどのケースでは、直ちに良い結果がでるわけではありません。よって、逸走してしまったペット様を無事発見・無事保護できるまでの間、飼い主様はずっと心を痛め続けるわけです」
「分かります。もう、居ても立っても居られない気持ちでした」
「ケースによっては、どれだけ捜索をし続けても、一向に解決の兆しが見えてこない案件だってあります。所謂、未発見のままになってしまうケースのことです」
「それは辛すぎます……」
「そうなんです。一生懸命に捜しているからといって、”絶対”に無事発見・無事保護ができるわけではないのです。ですから私は、『”絶対”ではありません』と申し上げている次第です」

真剣な眼差しで私の話を聞いているA様とF様に、私は付け足した。

「これまで、多くの迷子ペット様捜索の経験を重ねてきた私には、”絶対”について、ほかにも思うことがあります。あくまでも主観に過ぎませんが、その”絶対”は、迅速かつ適切な捜索着手以外にも必要なものだと確信していまして……」

F様が、前のめりに聞いてきた。

「それは、なんですか?」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉