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サービスエリアの空の下 36

「では、つぎにやるべきことに移ります」
「あ……捕獲器を設置したら、あとは待つだけじゃないんですか?」
「待つことは待ちますが、ただじっとしているつもりはありません。ついてきてください」

男性を連れ立って私が目指したのは、自分の車だ。
理由は、F様・A様から頂戴した手作り食の残りを使いたかったからである。
保冷バックの中から、凍ったままのそれを私が取り出していると、男性が覗き込んできた。

「なにをするおつもりですか?」
「半分くらいを使いたいと思いまして」
「捕獲器の中のエサの代え用ですか?」
「それもありますけど、主にはべつの用途です」

およそ半分に割ったエサを、トランクの中から取り出した保存用ビニール袋に入れた後、私は男性にお願いした。

「ヤカンのお湯を、この中に少しずつ入れて頂けますか?」
「あ、はい」

男性が持ち上げたヤカンの口に、保存用ビニール袋を私は近づけた。
そこへ、男性がヤカンのお湯を注ぐ。
やがて、その熱で大体の解凍が終わるのを待って、私はエサを一口大に取り分け、それぞれに用意した保存用ビニール袋に小分けした。
それからすべてを片付け、保存用ビニール袋の一つを私が持ち、それ以外を男性に渡した。

「小分けしたこのエサを、草むらの中に置いてきてもらえますか?」
「構いませんけど……草むらの中の、どこにですか?」
「さっき捕獲器を設置した場所とフェンスの間に、適当な間隔で置いてきてもらえればと思います。捕獲器の中のエサに誘導するような形で」
「なるほど」
「それと、あの子たちが食べやすいように保存用のビニール袋の口を開けて、それごと地面に置いてください。私はその間、草むらの中からあの子たちが出てくるかどうか、例のベンチ辺りで見張っていますので」
「分かりました。行ってきます」

私がベンチに辿り着いて間もなく、男性が草むらから出てきて、こちらに小走りで近寄ってきた。

「指示通りに置いてきました」
「ありがとうございます。途中、あの子たちの姿を見かけましたか?」
「いいえ。でも、ねぐらにいたはずの白猫が、いなくなっていました。ほかの二匹も見当たりません」
「分かりました。では、張り込みを代わって頂けますか?」
「はい」
「その前に、お手洗いとかは?」
「大丈夫です」
「もし途中でお手洗いなどに行きたくなったら、無理せず電話をください。私も、べつの場所で捜索をしていますので」
「分かりました」

男性と別れた私は、もう一度、広がる草むら沿いを一通り歩いた。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉