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サービスエリアの空の下 37

注意深く歩き続けたが、草むら沿いに変化は見られなかった。
スマフォのタイマーを確認すると、設定した二時間が経つまで、残り一時間ニ十分くらいであった。
捕獲器の様子を確認に行くにはまだ早いだろうと判断した私は、一先ず、男性の元に戻った。
すると、私が話しかけるよりも先に、男性が尋ねてきた。

「どうでしたか?」
「特段の変化はありませんね。そちらは?」
「同じです。こりゃあ、忍耐勝負になりそうですね」
「大概の保護作業は、こんなものです」
「辛抱強くない私としては、難しい作業です」

男性は、自嘲するように薄く笑った。
私は、過去ブログ『サービスエリアの空の下 30』で抱いていた懸念についての確認をすることにした。

「ところで、お聞きしたいことがあります」
「なんでしょう?」
「ご存じのように、捕獲器は私が持参した一つのみです。その一つで、三匹を、一匹ずつ保護するわけですが……」
「なにか、問題があるのですか?」
「仮に、一匹が捕獲器の中に入ってくれたとします。そうなれば、その間に、残りの二匹を捕獲器で保護することはできなくなります。つまり、残りの二匹の保護に捕獲器を用いたい場合、先に入った一匹を捕獲器の中から出さなければならないのです」
「ああ……そうですよね」
「問題は、捕獲器の中から出さなければならない一匹を、どこで解放するかです。誰かに飼われている猫様ならば、通常は、飼い主様のお宅や動物病院まで、捕獲器ごと運ぶことになります。ですが、今回は状況が少し違います」
「でしたら、家に運びます。車通勤なので、私の車もこのサービスエリア内に停めてありますし」
「承知しました。運ぶ先の許可を頂けるのであれば、そうしましょう。けれど、私にはまだ懸念が残っているのです」
「なんですか?」
「三匹は、外で暮らしています。故に、現状、どんな病気を抱えているか分かりません」
「そうですね。白猫については疑うまでもなく、すでに重度な皮膚病を患っているのは明白ですし」
「であるからして、直ちに動物病院へ運ぶのが望ましいと考えているのですが……この辺には、必要な診察と治療を24時間受け付けている動物病院はありますか?」
「いやあ……ないですね……」
「となると、捕獲器から出すには、部屋の中で解放するしかありません」
「まあ、それは大丈夫です」

ただし、である。
動物病院の開院時間になったら、解放した猫様をもう一度捕まえなければならない。
三匹の猫様共に、男性に抱っこされることに慣れていない以上、それは簡単なことではないかもしれないと私には思えた。

また、獣医によっては、飼い主様が抱っこできない状態では診察や治療を行ってもらえない場合があるので、猫様を洗濯ネットで包んだ後に、キャリーバックで運ぶべきである。
移送時の安全を考えれば、尚更だ。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉