新着情報

サービスエリアの空の下 49

男性から、すぐに折り返しの電話がかかってきた。

なんだろう……。

電話に出ると、男性は興奮気味にいった。

「今、目の前を、捜しているキジ白猫が歩いています!」
「え!? 間違いないですか?」
「毎日、この目で見ているので確かです!」
「そうですよね。どの辺りで目撃しているのですか?」
「黒猫が納屋らしき建物に入って行った、Hさん宅のすぐ近くです」
「Hさん宅の隣近所も、広い敷地を有していますか?」
「はい。ただ、畑を挟んでいます」
「……というと? その畑の中、もしくは畑の脇を歩いているのですか?」
「いや。Hさん宅と畑を隔てている壁の上を、キジ白猫は歩いています。自分は、その脇の小道で見ています」
「なるほど……」
「どうします? 追跡しますか?」

保護したキジ白猫様を私が抱っこできたことを伝え済みなので、下手したら、男性自身も抱っこを試みてしまうかもしれない。
そのために執拗に追跡をするのは、得策とはいえないだろう。
それらを懸念した私は、男性に提案した。

「一先ずは、その位置から動かずに、目視だけで行方を見届けてください」
「だけど……どこまで見届けられるか分かりませんよ? さっきもいったように、なんせ、外灯が少なくて暗いので……。これを逃したら、また目撃できるか保証はない以上、今が保護するチャンスなのでは?」

男性の発言を鑑みるに、率直なところ、よろしくない兆候だと感じた。
私がキジ白猫様を抱っこして保護したことと、捜しているキジ白猫様を自分が目撃したことで、一気に興奮をしているせいであろう。

しかし、男性の気持ちは分からなくもないが、焦りはネガティブな結果しか生まない。
それこそ、冷静さを欠いた飼い主様の暴走が未保護に繋がり、その後に再びペット様が行方不明になってしまったケースを、私は多々知っている。
そういった飼い主様の暴走を食い止めるのも、”迷子ペット様捜索パートナー”の私の役割だ。

ただし。
物言い一つで、興奮気味の飼い主様の心情は炎上しやすいので、気をつけなければならない。
物言いを失敗すると、多いのは、

「ずっとずっと捜していて、今ようやく目の前にいるのを見つけたのに、捕まえないなんて……じゃあ、いつ捕まえろと!?」
「このまま見過ごして、また行方不明になったら、どう責任を取るつもりだ!?」

などである。
実際は、文字に起こすのを躊躇うくらいのもっと酷い罵詈雑言を浴びせられるケースもある。

それでも、だ。
迷子ペット様を保護する絶好のタイミングを逃さないように、私は忠告をし続けなければならない。
すべては、無事発見・無事保護を実現するためだ。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉