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サービスエリアの空の下 75

鈴音の音量と聞こえる方面の変化を頼りに、私は進む方向を探りながら歩いた。
とはいっても、常に鈴音が鳴り続けているわけではないので、その歩みは決して早くない。
私のそんな様子は、他人から見れば、フラフラと右往左往しているように見えるだろう。

ただ、現段階では、鈴音が私に示している位置を探る方法がこれ以外にない。
よって私は、歩みが遅くとも、慎重な態度で鈴音に耳を傾け続けた。
その途中、新たな車が数台、サービスエリアに入ってきた。
それでも、運良く、それらが私の行く手を遮る位置に駐車することはなかった。
加えて、鈴音が聞こえなくなることを心配したが、幸いにしてそれもない。

けれども、鈴音が鳴っている元の位置には、いつまでたっても辿り着けなかった。
鈴音を聞かせてくれているであろう誰かの存在も、依然として見当たらない。
あっちに歩いてはまた戻り、戻ってはまたこっちに歩くことの連続なのだ。
これではまさに、フラフラと右往左往している怪しい人物である。

どうしたものか……。

考えていると、先ほどフードコート内へ入って行った五人のドライバー(※詳細は『サービスエリアの空の下 73』を参照)の姿が、私の視界の端に映った。
相変わらずケタケタと笑い合っては、大声でお喋りをしている。

これは困ったぞ……。

なぜなら、私は今、彼らが駐車している五台の車の近くを歩いていたからだ。
以前として周囲にほかの車が駐車していないので、彼らが私を発見したら、一方的に不審がられる恐れがある。
自分たちの車にイタズラしていると思われたら、不要なトラブルに発展してしまいかねない。
そうなっては面倒だし、キジ白猫様の保護活動に明らかな支障が出てしまう。

仕方ない。
私は一時、五台の車から離れることにした。

離れながら、五人のドライバーの行き先をさりげなく追うと、彼らは喫煙所に向かった。
例の、茶色猫様と出会った喫煙所茶(※詳細は『サービスエリアの空の下 41』を参照)である。
このタイミングで、もしキジ白猫様が喫煙所付近に現れたら、保護がやりにくい。

どうか、彼らが喫煙所に長居しませんように!

祈るような気持ちで歩いていると、鈴音が聞こえたきた。
よろしくないことに、その方面は、喫煙所辺りを示している。

いやはや、この展開は望んでいなかったのになあ……。

それでもしかし、こちらとしては、聞こえる鈴音を頼りに歩くしかない。
私は喫煙所方面に足を向けた。
聞こえてくる鈴音の音量が、少し大きくなった。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉