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サービスエリアの空の下 9

「本音はずっと、お宅さんと同じ想いです。三匹一緒に保護したい。笑われるかもしれませんが、”シロ”も、『そうするべきだ』といっている気がするんです。『だって、家族に会えなくなるのは寂しいよ』って……」

確かな想いを述べた男性の目に、相応の覚悟と責任の光を私は見た。

「でしたら、想うようになさるべきですよ」

男性の想いを受け止めて、私は現在時刻を確認した。
所用を予定通りに済ますためには、もう出発しなければ間に合わなくなる時間だった。

それを察したのか、男性がいった。

「ついつい長く話し込んでしまって、申し訳なかったです」
「いえいえ。お気になさらずに」
「おかげで、決心がつきました。どうにか頑張って、三匹みんなを保護してみます」

いいながら笑みを浮かべると、男性はズボンのポケットに手を突っ込んだ。
そうして取り出したものはジッパー付きの保存袋で、中身はドライタイプのキャットフードだった。

「この猫たちはいつも、このサービスエリアを訪れる気まぐれな誰彼に揚げ物やらの残飯をもらってるから、このキャットフードには、ほとんど見向きもしないんですがね。それでも、仕事が休みの時も通って、ちょっとずつでも慣れさせようと試しているんです。それこそ、気まぐれに食べてくれたりはするんで」

その献身ぶりに感動すら覚えた私をよそに、保存袋に手を入れ、キャットフードを一掴みした男性は、そのままキジ白猫様たちの元に近づいていった。
それでも、どちらのキジ白猫様ともに、特段の警戒心を抱くことはない。

男性はキジ白猫様たちから一メートルちょっとの位置でしゃがみ込んで正対し、掴んでいたキャットフードを差し出した。
だがやはり、すでに揚げ物の類でお腹を満たしている二匹は、男性が与えたそれを食べようとはしなかった。

「……ほらね。困ったものです」

苦笑をもらし、手にしていたキャットフードをキジ白猫様たちの近くの地面に置いた男性に、私は聞いた。

「ここを訪れる人たちに、この子たちへのエサやりを禁止してみてはどうです?」
「それはそうなんですがね……。前に、揚げ物の類を与えようとしていた人に注意をしたら、揉め事になってしまったことがありまして……」

男性の表情を見るに、よほど苦い経験だったようなので、私はこれ以上、この話題を続けることを控えた。
その代わりに、白猫様の方なら食べてくれるかもしれませんよ、と促した。
私が見ていた限り、満足するほどの量を、白猫様はまだ食べていなかったからだ。

「そうですよね。では、試してみるとします」

男性は頷いて立ち上がり、白猫様がいる方へ足を向けた。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉