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昨今のペット飼育事情について 〜犬様のお散歩にまつわる事〜3

「ご指摘の通り、それは想定できますね。飼い主に褒められる事を、犬が諦めた場合は特に」

K様は少し困ったような顔を浮かべた。
けれどもそれは、ご自分が信じる理論の綻びを指摘されての反応ではなかったと、つぎの会話でわかった。

「ただ、そのような心理に陥る犬ばかりではありません」
「もちろん、個体差があるのは承知致しております」
「でしたら、犬側の視点で考えてみてはいかがでしょう? 種々のしつけトレーニングは、あくまで人間側の都合で行うものです。人間側が番犬にしたいと勝手に思うだけで、犬が自発的に習得を申し出るわけではありません」

K様は犬の意志を尊重しておられるからこそ、先の表情を浮かべていたのだ。
私達メビー・ラックの理念にも合致するので、ますますの興味を持った。
それが潤滑油となり、K様の言わんとしている内容を探る為、私の脳はフル回転した。

「ただ単に習慣づいてしまって、吠える事に特段の意味を持たないケースもあるやもしれませんが……。自発的という言葉をヒントにすれば、番犬様が吠え続けるのを止めないのは、威嚇吠えの他に理由があると考えられます」
「筋の良い発想です。何かを伝えたいのか、もしくは何か要求があるから犬は吠えて伝えるのです。では、吠え続けても褒めてもらえなくなった犬は、つぎに何を伝えたくて、何を要求しているのだと思いますか?」

私が番犬の立場だったら??
そこに意識を向けたら、腑に落ちる動機が見えてきた。

「現状に対する不満ですね!?」
「それに付随した怒り吠えもあるかもしれないし、通りかかる人へのヘルプ要求で吠えているかもしれない。繋がられっぱなしがイヤだとか、つまらないとか」

そうか。
そういった観点で考察するなら、吠えないで大人しくしていれば、かまってもらえるかもと期待する番犬様がいたっておかしくない。

「あとは、犬が吠え伝えてくる欲求の度合いを比較してみるのも大事です。人間でも当てはまりますが、例えば、食欲と睡眠欲を同時に抱えていたとします。その時に食べてから寝るのも方法ですし、とにかく眠いから寝て、起きてから食べるという選択肢だってあります」
「それもまた、人それぞれ、犬様それぞれ、ですね」

その時々の欲求の度合いで、好きな選択肢を選べる。
それこそが、人間社会で暮らす上での『自由』であり、相互尊重だ。
もちろん、他者を傷つけるような欲求に基づく言動は慎むべきで、一定程度の守るべき制限がかかってくる。

それは、犬様とのリード付お散歩においても当てはまるのではないか。
大好きな飼い主様と散歩をするのが最大欲求の犬様が、リードが繋がっているからといって、極度の不快感を覚えるだろうか?
仮に、わずかばかりの不満を抱く瞬間があったとしても、犬様の欲求の度合いを比較してみれば一目瞭然のはずだ。

かくして。
私とK様の話題は、お散歩中にその理論と観点を応用できるか、に移った。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉