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飼い猫様の窃盗 120

白黒ブチ柄の猫様に導かれた道行ですれ違う人物たちは皆、周辺住民であろう人たちばかりでした。
聞き込みでお話を伺った方々もいれば、はじめて拝見する方々もいましたが、それぞれがごく自然に日常生活を送っている印象です。

このまま無事に終わればいいなあ……。

私は先を急ぎました。

白黒ブチ柄の猫様の導きに従ったおかげかどうか実証はできませんが、私を捜し回っている男たちと道中で鉢合わせすることはありませんでした。
そして、あと一つ角を曲がれば、S君の飼い主様宅に到着できる所までやってきた時です。
古いアパート前の道路に、一枚のチラシらしきものが落ちているのを見つけました。

何とはなしに、私はそのチラシを拾い上げ、記載されている内容に目を通しました。
そこには、”迷子になった猫を捜しています”という文言があり、一匹の猫様の写真が掲載されていました。

あ……この子は!

写真に写る猫様は、先ほど私を導いてくれた白黒ブチ柄の猫様にそっくりでした。
写真を見れば見るほど、ほんの少し前に私が見た、白黒ブチ柄の猫様と同一猫様である気がしてなりません。

となると、です。
白黒ブチ柄の猫様が私を導いたのは、どうやら、捜し回っている男たちに私が見つからないように守ってくれた理由のほかに、このチラシに気づかせるためだったのでしょう。

ならば、そのご縁に抗う道理はありません。
チラシに表記されている文言すべてを、私は通覧しました。

逸走日は3日前で、逸走場所はこの近辺とあります。
首輪の装着は無しで、普段は室内飼い、名前はB君といい、去勢済みのオスのようです。

チラシの下段には目撃情報を募るお願いと、おそらくはB君の飼い主様のものだと思われる携帯番号の記載がありました。

B君かもしれない猫様を目撃したことを、すぐに伝えてあげなければ……。

周辺の猫様たちを乱獲している男たちの存在も懸念されるので、記載されている携帯番号に、私は電話をかけました。

「もしもし。私、B君の迷子情報が載ったチラシを拝見した者なのですが……」
「あ、はい!」

声を弾けさせて応対したのは、女性でした。

「B君の飼い主様のお電話番号で、間違いありませんか?」
「そうです! そうです! どこかでBを目撃されたのですか!?」

期待やら興奮やらを前面に押し出す飼い主様のテンションに圧倒されつつも、B君だと思われる白黒ブチ柄の猫様をついさっき見かけたことを、私は話しました。
すると、飼い主様のテンションはさらに高まりましたが、重要な内容なので、なるべく落ち着いて聞いてもらえるようしなければなりません。
故に、ゆっくりとした口調を意識しながら、白黒ブチ柄の猫様を目撃した場所と時間について、私は伝えました。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉