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飼い猫様の窃盗 33

作成したチラシを配っても、すぐには目撃情報の連絡は入らなかったそうです。
飼い主様は、仕事の日でも帰宅後に毎日懸命なチラシ配りと捜索を続けました。
そのまま一週間が過ぎた日の夕方16時前、一本の目撃情報電話がかかってきました。

それによると、飼い主様のお宅から直線距離で1kmほど先の空家の玄関辺りに、たった今、S君に似た猫様が座っていたといいます。
飼い主様は仕事中だったため、帰宅してすぐ、その空家に向かいました。

ですが。
到着できたのは20時半過ぎだったため、情報提供者が見たという猫様の姿は見当たらなかったそうです。

飼い主様へのヒアリング時に、その時の話を詳しく聞いたのですが、情報提供者は首輪の有無までは確認できなかったそうです。
ただ、長毛であることは間違いなかったようで、被毛の色もそっくりだったといいます。

その後も、情報提供者はS君に似た猫様を見かけ次第、直ちに連絡をくれることを約束してくれたので、飼い主様は期待して待ちました。
ところが、それ以降、情報提供者から電話がかかってくることはありません。
飼い主様自身も、その近辺を重点的に捜し回ってはみたものの、一切、S君の姿を見つけられなかったそうです。

一本目の目撃情報から数えて五日後、べつの目撃情報電話がかかってきました。
今度の場所は、飼い主様のお宅から直線距離で700mに位置する、昔ながらのタバコ屋さん辺りでした。
そこの店主様がお電話をくれたそうで、なんでも、タバコ屋さんのはす向かいに建つお宅の門柱の隙間から、ひょっこりと顔を出した白猫様がいたといいます。

目撃した時間は正午過ぎだったので、被毛の色味を見間違えることはないでしょう。
しかしながら、目撃したのは一瞬だけだったので、長毛だったかどうかは自信がないと仰ってそうです。
加えて、こちらの方も、首輪の有無までは未確認ということでした。

飼い主様は、その場所近辺の捜索に時間を割くべきか、迷ったそうです。
理由は、タバコ屋さんのはす向かいの家は、一本目の目撃情報とは真逆の位置だったからです。
一本目の目撃情報地点と二本目の目撃情報地点との間には、飼い主様の自宅があります。

よって。
仮に、目撃された猫様が同一で、しかもS君だったとしたならば、自宅を通り過ぎるとは思えず、そのまま戻ってくるはずだと飼い主様は強く信じたそうです。
逸走現場である自宅の庭には、S君の使用済みの猫砂を撒いたり、お気に入りのエサを置きっぱなしにしていたり、いつ帰ってきてもいいように窓を少し開けっ放しにしていたというのが、強く信じる裏付けでした。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉