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飼い猫様の窃盗 41

ペット探偵の態度を信用できなかった飼い主様は、すぐさま会社に電話を入れたといいます。
とはいっても、自分で電話をしたわけではありません。
三日前にS君らしき猫様を見かけたA様が飼い主様を気遣い、自分の携帯番号から電話をかけてくれたそうです。

そうして、数コール目で電話にでたペット探偵会社の事務方に、

「三日前にS君の目撃情報電話をした者だが、電話にでなかったのはなぜか?」

とA様は問いました。

それでも、事務方は、

「そういった電話は受けていません」

との一点張りで、自らの非を認めようとしませんでした。

呆れるA様に電話を代わってもらった飼い主様は、事務方の声を聞いて驚きました。
先ほど電話を切ったばかりの、ペット探偵本人の声だったからです。

そのことを問うと、事務方は別人の名前を名乗りました。
明らかに無理があるウソに騙されず、飼い主様はさらに問い詰めました。

「さっきの電話で、『今、別件の捜索中なので』といっていましたが、なぜウソをいうのですか?」
「ですから、私は事務方の人間なのですが……」
「声を変えているつもりでしょうが、同じ声だって分かります」
「そういわれましても……」
「その様子じゃ、最後まで認めないつもりでしょうから、そのことは、もういいです。時間の無駄なので」
「そうですか」
「それよりも、ほかにも目撃情報電話があったのなら、正直にいってください!」
「ありませんよ」
「本当ですか!?」
「ええ。さっき、担当の者から電話があって同じ旨を聞かれましたが、ないものはないです。あったらあったで、すぐに電話しますって」
「信じられません」
「……そういわれてもねえ」
「だって、現にこうやって……」
「そちらの良い分は分かりました。とにかく、後程、担当の者から電話させますよ。ご不満や諸々については、直接話された方がよろしいかと」

そのようにして一方的に電話を切られた飼い主様は、やり場のない気持ちを抱えたまま、A様に御礼をいって一旦帰宅しました。
いい加減なペット探偵会社に依頼してしまった後悔と、それによってS君の発見・保護が遅れてしまっている現況にめまいを覚えたからです。

帰宅後しばらく横になっていると、ペット探偵の携帯番号から着信が入りました。

「もしもし。お電話遅れまして、すみませんね。別件の捜索中だったもので」

これまでよりも妙に甲高い声なのは、事務方との違いを強調しているつもりでしょうが、やはり同じ声だと飼い主様は確信したそうです。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉