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飼い猫様の窃盗 43

ペット探偵に『根気が足りな過ぎです』だといわれた飼い主様は、反論したそうです。

「そういわれますけどね、捜索延長依頼の予約についての話もはぐらかされたままなのですよ!? 飼い主として不安に思うのは当然じゃないですか!」
「はぐらかされたまま、という言い方、やめてもらえます? 以前に捜索延長依頼のお話を飼い主さんがした時、こちらは、『事務に問い合わせしてみないと、はっきりとした数は分かりかねます。今こうして電話している間にも、予約が確定している案件がないとはいいきれないので』と伝えましたよね?」
「はい」
「で、その後、飼い主さんの方から、捜索延長依頼について問い合わせしてきましたっけ?」
「……してません」
「ですよね」
「でもそれは、『まあとにかく、様子をみましょう』と仰ったからですし、そちらから連絡を頂けるものかとばかり……」
「それをしたら、こちらが営業をかけてるみたいになって、あらぬ誤解を受けかねないので致しません」
「じゃあ、連絡をしなかったこちらが悪かったと?」
「良い悪いの話をしているわけではないですよ。事の運びの事実をいっているだけです。いちいち、話をややこしくしないで頂けますか」
「……」
「いいですか、飼い主さん。この際だからはっきりいわせてもらいますがね、こちらとしては、べつに捜索延長依頼をしてもらわなくても構わないんですよ。というより、こちらは、積極的に営業をかける必要に迫られていませんし」
「テレビ出演をきっかけに依頼が殺到している状況だから、ですか……」
「そうですね。ペットを逃がしてしまった多くの飼い主さんたちが、藁をもつかむ想いでぼくを待っているんです」
「こっちだって、そんな飼い主の一人ですよ……」
「だったらなぜ、信頼関係にヒビが入るような物言いをなさるんですか?」
「Sのことが心配で心配で……」
「当然でしょうね。だからといって、その気持ちを当てつけられても、こちらとしては気分が良いものではありません」
「すみません……」
「あえていわせてもらいますが、S君を逃がしたのは、飼い主さんご本人です」
「はい……分かってます」
「一人ではにっちもさっちもいかなくて、ぼくらに捜索依頼をなさったのも、飼い主さんご本人です」
「はい……」
「なのに、今度は自らの暴走で言いがかりを吹っかけてきて、ぼくらに混乱を招いています」
「言いがかりでは……」
「一体、飼い主さんはどうしたいのですか? 誰かに文句をいったところで、S君が見つかるわけじゃありませんよ」
「……そうですけど」
「分かって頂けたなら、頭を冷やして、今一度、自分がどうしたいのか、よくよくお考えになった方がよろしいのでは?」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉