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飼い猫様の窃盗 45

ペット探偵に、見放されたようなことをいわれた飼い主様は、折れた心で声を絞り出したそうです。

「信頼関係の回復に自信を持てないということは、捜索延長依頼には、もう応じてもらえないということですか?」
「良かれと思ってしたアドバイスを無下にして、勝手に捜索現場を引っ掻き回しているのは飼い主さんの方ですよ? それなのに捜索延長依頼をされてもねえ……。正直、飼い主さんのせいで、S君の発見率が低下したと、ぼくは思ってますよ」
「そんな……どうしてですか!?」
「目撃情報電話をしたのに電話に出なかった、などというデマを、飼い主さんが近所に広めてるからですよ。そんなことをされたら、こちらの信用度はガタ落ちです。そのせいで、この先、目撃情報電話は期待できないでしょうね。飼い主さんの自業自得とはいえ、S君が不憫で仕方ない」
「自業自得……」
「そうです。残念ながら、飼い主さんが軽率な行動をとったせいで、未発見になってしまう可能性を自ら高めてしまったわけです。こうなるともう、アドバイスのしようがありません。なのに、捜索延長依頼に応じてしまっては、こちらが詐欺をしているみたいになってしまいますので」
「だから……捜索延長依頼を拒否するということですか?」
「察してください。すべては後の祭りです。では、幸運を祈ります」

こうしてペット探偵に電話を切られ、それ以来、連絡のやりとりは無くなったそうです。

ペット探偵の物言いに、ただでさえ弱っていた心を砕かれ、追い詰められてしまった飼い主様は、食事も喉を通らなくなりました。
そうなって初めて、捜索延長依頼を拒否されたのは延長料金よりも新規依頼を受ける方が儲かるからだと気づき、飼い主様は激しく後悔したといいます。
勇気を持って疑問をぶつけても、口達者なペット探偵に素人扱いされていい包められ、話の論点をずらされ続け、結局はこちらが悪いように思い込まされるた始末に、悔し涙が止まらなかったそうです。

そうなると、ネガティブ思考の泥沼にはまってしまうのに時間はかかりませんでした。
S君のことを思えば思うほど、ちゃんと捜してあげられない結果になってしまった故に申し訳なくて、ご自分を責め続け、睡眠不足に陥るのも無理はありません。
ほどなくして、飼い主様は入院をなさりました。

その間、S君の捜索は停止したままになってしまいました。
入院中であっても、飼い主様はそのことが気がかりで、静養などできなかったといいます。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉