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飼い猫様の窃盗 88

会話を中断して間もなく、私が潜んでいる茂みの前を、エサやリ男性が速足で通り過ぎて行きました。
その数秒後、二人組の男たちも歩いてきました。

目を凝らして見た感じ、二人ともに、知らない顔でした。
男のうち一人は、周囲に向かってこまめに視線を配りながら歩いています。
もう一人の男は、携帯電話で誰かと話しながら歩き、エサやリ男性の背中をじっと見ています。

私は、エサやリ男性との会話を再開しました。

「今、二人組が通り過ぎて行きました」
「どうだった?」
「私が顔を知っている男たちではありませんでした。ただ、この一瞬の判断だけでは、仲間かどうかまでは……」
「だよね……。じゃあ、とりあえずは、一番近くのコンビニに逃げ込んでみる」
「そうしてください」
「一旦、電話を切るわ。コンビニに着いて様子を見てから、また連絡する」
「お願いします」

仮に、エサやリ男性の後を歩いている二人組が、怪しげな男たちの仲間だとします。
だとすれば、やせ細った男とニット帽を被った男は、公園内ではなく、べつの場所で私を捜し回っている可能性が考えられます。
その可能性の中には、コインパーキング付近に私が現れるのを、今か今かと待っている男のことも含まれます。
どちらにしても、エサやリの女性が公園内にいるのかを確認するには今がチャンスだと思い、私は茂みの中を出ることに決めました。

エサやリの女性が現れるエサやリ場(公衆トイレ付近にあるベンチ周辺)まで向かっている間、男たちと遭遇することはありませんでした。
一匹の野良猫様も見かけませんでしたし、エサやリ男性からの着信もありません。
エサやリ場であるベンチ周辺に着いても、それらの状況に変化はなく、エサやリの女性の姿もまた、確認できませんでした。

エサ待ちをする野良猫様たちの姿がないということは、今日はもう、エサやリを終えてしまったのかもしれない……。

私は諦め、スマフォに表示されている現在時刻をチェックしました。
着信があった時刻からの経過時間を考えますと、コインパーキング付近に私がまだ現れないことに、電話をかけてきた男性はそろそろしびれを切らす頃でしょう。
とはいえ、それが私の目論見でもあるので、再び電話がかかってくるまでは放置です。

ということで、私は今一度、エサやリ男性からの着信を待つことにしました。
エサやりの女性とはじめて会話を交わした時のように、公衆トイレ内に身を隠しながら待つのが適当だと思い、私は向かいました。
その時です。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉