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「はじめまして」が繋ぐもの 1

はじめまして。

ご縁に導かれて、本ブログ『今も明日もLucky Life』を担当させて頂くことになりました富山桃吉と申します。
生業は物語作家で、脚本・ライター・イベント構成・演出などのお仕事を頂く日々を過ごしております。
メビー・ラックでは、犬様や猫様のおもてなし係長の任を頂いております。
不定期ですが、代表の岡村、『メビー・ラック』のマスコットキャラクターであるネコ様『メビー』とイヌ様『ラック』と共に本ブログを綴って参りますので、どうぞよろしくお願い致します。

さて、今回のブログは主題にある『「はじめまして」が繋ぐもの? 1』。
幸いにも誰かのよろこびに繋がる物語を紡ぎながら『生きて』『行きて』『活きて』頂かせている私。
そんな私と『メビー・ラック』のご縁を結んでくれたのは、一頭のシニア犬でした。
そのことを綴らせて頂きたいと存じますので、一読頂けたら幸いです。

蒸し暑さが絡みつく夏の夜の帰り道のことだった。
暑さに耐えかねて帰宅を急ぐべく、私はいつもは通らない住宅街の路地を曲がった。
その先で、私は痩せ細った身体を引きずっていたシニア犬と出逢った。
そのシニア犬は何かを必死にさがしながら歩いているように見えた。
かわいた咳をする度に突っ伏しそうになるが、決して歩みを止めようとはしない。

「随分と汚い犬ねえ」
「ありゃあ、相当な年寄りだ」
「あの咳は病気っぽいわ」
「だから棄てられたんだよ」
「首輪もついてないしねえ」
「どなたか飼ってあげたら?」
「そういうなら、お宅が飼ってあげたら?」
「家はムリよ。お宅はどうなの?」
「イヤよ。どうせ飼うなら、もっと若くてかわいい犬がいいわ」
「ですよねえ」

私からすればどれもほとんど同じに見える建売住宅の居住者達から、どれもほとんど同じに研ぎすまされたコトバ達がシニア犬に向かって放たれる。
それらを払いのけるチカラすらも惜しむように、シニア犬はよろよろと歩き続けていた。
キミは何をさがしているの?
シニア犬にだけ向けた想いにつられて私が一歩を踏み出すと、居住者達の一人である細い目をした男がヒーロー然と立ち塞がった。
いつのまにか、手にはやけに鈍く光るゴルフクラブが握られている。

「よっしゃ。オレに任せときな。咬まれて怪我人が出る前に追っ払ってやる!」

濁った感情が含まれた男のガラガラ声はひどく耳障りで、私はこの上なく不快を覚えた。
同時にシニア犬に及ぶ危険を感じた私は、ほとんど条件反射で決意した。
とにもかくにも私が先に保護しなくては!
私の決意を察したのか、シニア犬が苦しそうな咳をしながら顔を上げた。
シニア犬との視線が初めて交わる。
何秒か……。
何秒も経っていないのか……。
シニア犬は私の胸の真ん中をめがけて伝えてきた。

≪はじめまして≫

その瞳には疲労が確かに浮かんでいた。
それでも穏やかで、やさしさを諦めてはいない。
まだ人間を信じている!
間違いなく、つい最近までは飼い犬だったと確信した。
「はじめまして、キミ」
私は声に出して、シニア犬に挨拶を返した。
ヒーローになり損ねた男が怪訝そうな顔で私を覗き込んできた。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉