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その瞳に灯るもの 5

再生治療の有効性が認められている症例は、前回ブログ『その瞳に灯るもの 4』で挙げた難治性骨折・関節疾患のほかにも、まだある。
椎間板ヘルニアが、それだ。

椎間板ヘルニアはこれまで、整形外科手術での治療が主流であった。
それによって、正常な運動機能の回復を果たしたペット様も多いので、整形外科手術そのものを否定する気は毛頭ない。

ただし、だ。
過去に椎間板ヘルニアの手術を受けたペット様が、再発してしまうケースがあるのも事実ではある。

そこで、再生治療の出番となるわけだ。
たとえば、すでに、腰から後ろの脊髄神経が委縮してしまっているケースでは、再生治療を選択する有益性はあるだろう。
先ずは、整形外科手術でヘルニア部分の圧迫を取り除いてから、そこに幹細胞を移植する再生治療方法を実施する。
そうすることにより、術後に適切なリハビリを経て、自らの足で再び立てるようになったペット様もいるそうだ。

また、肝臓疾患にも、再生治療は開始されているという。
これについては、まだまだ症例が多いとはいえない現状がある。
とはいうものの、だ。
複数回の幹細胞移植を行った結果、それまでの投薬治療では望む結果を得られていなかったケースでも、肝臓の数値が改善されたという報告も存在しているらしい。

ここまで綴ってきたように、私たち人間の医療と同様、動物医療に関しても日々進化しているわけだ。
それこそ、iPS細胞の研究が加速度的に進めば、再生医療が主流となる日も遠くはないだろう。
そのことについて、希望に胸を躍らせる飼い主様方が大多数だと思う。

だがしかし、だ。
私個人としては、ここで今一度、『その瞳に灯るもの 2』で紹介した坪田一男さんの言葉を反芻するべきだと考える。
とりわけ、

”もちろん、移植をする、しないも自由。ドナーとして提供する、しないも自由です。大切なことは、意思をもってそれを家族に伝えることです。その意思が尊重される社会であることが公平な社会と考えます。多くの人に意思表示のチャンスがあることを知っていただければと思います”

という部分だ。

確かに、ケガ・事故・病気などで失われた、犬様・猫様の運動機能の回復がかなえば、飼い主様にとっては、よろこばしい出来事であろう。

しかしながら、運動機能の回復がみられたとしても、犬様・猫様の寿命が格段に延びるわけではないし、寿命そのものを延ばすことができるわけではないことを忘れてはならない。
私がそう述べる真意は、再生治療の現状及び行く末を案じているからである。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉