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たとえ離れていても 7

「こう寒い時季だと、飼い主様はWちゃんの身を案じて、余計に不安でしょうね」

ぼくの心配はその通りだったらしく、Nさんは嘆息をもらす。

「そうなんですわ。飼い主さん、電話中のほとんどが涙声で」

ぼくは目を瞑り、一度、深い息を吐いた。

だが。
それはなにも、ネガティブなイメージに引っ張られた結果ではない。
落ち込むとか悲しむといった同情の類とは、明らかに趣が違う。
むしろ、自分自身の中に在るポジティブ思考を顕在化するための深呼吸である。

確かに、状況を鑑みて飼い主様やNちゃんのことを想えば、親身にならざるを得ないのが本心だ。
しかしながら、ぼくは迷子ペット様捜索のプロである。
ぼくの身体と心には、いくつもの捜索経験が刻み込まれている。
それを出し惜しみなく飼い主様に提供することが、無料電話相談を設けた意義だと信じている。

よって。
ぼくは、飼い主様と一緒になって落ち込んだり悲しんだりしているわけにはいかない。

藁をもつかむ想いで捜索相談電話をかけてくる飼い主様が、迷子ペット様捜索のプロに寄せる期待はなにか――

・誠意ある傾聴
・親切な対応
・無事な発見・保護に繋がる適切な捜索方法のアドバイス

などがそれに当たるだろう。

ならばこそ、だ。
心配と不安で押しつぶされそうになっている飼い主様にとって、ばくは、頼りになる存在でなければならない。
迷子ペット様捜索における、真の意味でのパートナーでなければならない。
たとえ、初めてお話を伺う見ず知らずの飼い主様であっても、ペット様が行方不明になってしまった事情がどうであっても、だ。

あえて、いわせてもらえば。
迷子ペット様捜索に携わることは決して楽なことではないし、良いことばかりではない。
精神的にかなりのプレッシャーがかかるし、体力的にも軽くない負荷がかかる。
その上、発見しようといくら努力したからといって、必ずしもハッピーエンドを迎えるとの約束は不可能だ。

いわずもがな、迷子ペット様も生きているわけだから、お腹も減れば、喉も乾く。
自らの命を保つために、それらを求めて動くことが普通だ。
身の危険を察知すればどこかへ逃げるだろうし、暑すぎたり寒すぎたりすれば、より良い環境を求めて移動もするだろう。

その移動距離については、

・迷子になってしまった場所の立地環境
・迷子になってしまった季節
・迷子になってしまった理由
・迷子になってからの期間
・迷子になってしまったペット様個々の性格
・避妊や去勢の有無

などによって違いがあるので、一概に断定は出来ない。
あくまで、千差万別である。

いずれにせよ、発見されるまで、ひとところにじっと留まっているペット様は極めて少ない。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉