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たとえ離れていても 9

「飼い主さんのお名前はW様で、迷子になっている猫の名前はMちゃんだそうです」

このようなきっかけでW様ご夫婦やMちゃんと知り合うわけだが、そのきっかけはNさんだったのが実だ。

とにもかくにも。
Nさんを介して知り合うことになるW様を、前ブログ『たとえ離れていても 8』で綴ったような不健康状態にさせてはならない。
Mちゃんを未発見のままにさせてはならない。

ぼくはもう一度深く息を吐いて、ポジティブ思考に決意を注入した。

「わかりました。W様と直接お話することは可能ですか?」
「はい。こちらでも、一応の状況は伺ったんですが、そうして頂けると助かります。なんせ、今回は大阪からも近くない距離なんで……」

Nさんは自分が捜索現場に顔を出せないことを、心底悔しそうにもらした。
飼い主様と深い愛情を結んで暮らしていたペット様の葬儀に、日頃から携わるNさんらしい想いだ。

ぼくはふいに、Nさんの人柄とシンパシーを覚えた瞬間を思い出した。
それは出逢ってから間もなくの頃だった。
お互いに、なぜこの仕事をしているのかという話の流れの中で、Nさんはこんなことをいっていた。

「ペットと飼い主さんの別れの場面に立ち会う度、思うんですわ。何年やってても、火葬炉のスイッチを押す瞬間が一番しんどいって……」
「それは、想像に難くないですね……。ぼくも、捜索や介護などでたくさんの飼い主様とペット様のパートナーを担わせて頂いてますが、いざ火葬を行う瞬間に立ち会う際は、いつも込み上げるものがあります。いくつもの別れの場面に立ち会ってきたものの、未だに慣れることはありません」
「そうなんですわ。というより、ジャンルに関係なく、ペットに関係する職業に就いている者は、絶対に慣れたらあかんことちゃいますかね」

職業柄、Nさんもぼくと同じく、ペット様関連の不誠実な業者を、これまでに数多く見てきたそうだ。
それにまつわるNさんのお話の中でも、ぼくが驚いたのは、ペット葬儀業者の不誠実さにである。

「燃料経費の削減を優先して、複数の亡骸をまとめて火葬する業者がいてましてね。そういった業者が火葬したペットの骨は、しっかりと焼けないケースがあるんですわ。逆に、お骨の形がきれいに残らない場合もあったりして。複数のお骨がごちゃ混ぜになってしまっても、奴らは適当に骨壺に入れてしまえばバレやしないと平気で知らん顔してるから、ほんまに許せません」
「ふざけてますね」
「クソ以下ですわ。だからね、一つくらい、まともなペット葬儀屋を作ろうと、仲間誘って始めたんですわ」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉