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サンタクロースからの贈り物 17

Nはおもむろに自分の携帯を操作し、保存してある写真のデータを女性に見せた。

「このワンちゃんが、今現在Tさんが保護なさっているのワンちゃんの写真です。間違いないですか?」

はい!?
ヒアリングもまだしてないのに、本当に写真見せちゃうんだ!?
写真を見るだけで自分の犬だと主張するのは、本当の飼い主様じゃなくてもたやすいことなのに!?

私が動揺している間に、女性は期待に目を輝かせながら写真を覗き込んだ。
ところが写真に目を落とした途端に、女性の表情と声が曇った。

「あ……」

まさか……。

「違います……別の犬です」

この女性は本当の飼い主様じゃなかった!!!
自然、私とTさんの視線がぶつかった。

「そうですか……」
「はい……残念ですが別の犬です」

そのやりとりだけで、Nと女性の会話が途絶えた。
この状況で、この後に続く展開をNはどうするつもりなのか?
女性はどうする気なのか?
私もTさんもただ黙り続けるしかなく、事の成り行きを待った。

しばし流れた重苦しい雰囲気を破ったのはNだった。

「あなたが捜されているワンちゃんは、どんな状況で迷子になってしまったのですか?」

んっ?
んんっ?
んんんっ?
本当の飼い主様じゃないとはっきりしたのにヒアリング?
そりゃあまあ、この女性はTさんが保護なさっているワンちゃんの飼い主ではないとはっきりしたけど……。
本当に、実際に飼っているワンちゃんを迷子にしてしまっているのかもしれないけれど……。

女性は俯いたまま言った。

「いなくなった時間は正確に分からないんです……」
「と言いますと?」
「昨日の午後に母が散歩に連れて行ったらしいのですが、翌朝になって犬小屋を見たら姿がなかったみたいで……」
「何らかの理由で、リードを引きちぎった形跡がありましたか?」
「いえ……。おそらく単純に母のミスで、リードがちゃんと繋がっていなかったのだと思います」

庭等で外飼いされているワンちゃんが迷子になってしまうケースの中では、よくあるパターンだ。
こういうケースだと、迷子になってしまった時間は不確定になる。
なので、飼い主様が最後にワンちゃんの姿を確認した時間を迷子になった時間と想定して、最大移動距離を推測する。
その分、捜索範囲は広がらざるを得ないので多少なりとも発見率に影響を及ぼす。

「今までにも、そういった事があったんですか?」
「はい。恥ずかしながら何回か……。それでも、いつもは自力で帰ってきたり近所の人が連絡くれたりで、すぐに見つかっていたんです。それが今回は一日経っても行方不明のままなので心配で……」

女性の頬に涙が伝った。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉