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サンタクロースからの贈り物 18

「申し訳ございませんでした」

女性に向かって唐突に謝ったNの行動に、私を含めた全員が固まった。

「Tさん、保護しているワンちゃんを連れて来て下さい」

続けて言い放ったNの言葉に戸惑い、慌てたTさんが確認し直す。

「……本当に連れて来てもいいんですか?」
「はい。お願いします。あ、出来れば奥様も同伴願います」
「分かりました。連れて来ます」

Tさんは小走りでマンションの中に消えて行った。

それにしてもわけが分からない。
さすがに我慢ならず、小声でNに疑問を投げる。

「この女性は、Tさんが保護しているワンちゃんの飼い主様じゃなかったんでしょう?」
「ん? ああ……」
「さっき写真見せて、違うって……」
「うん。違ってた」
「じゃあ……」
「見せた写真がね」
「は?」

そこで私をシャットアウトし、Nはもう一度自分の携帯を操作し始めながら、重ねて女性に謝罪する。

「さっきあなたにお見せした写真は別の迷子犬の写真でした。本当に申し訳ございません。どうかお許しを」

ウソだ。
今現在、うちで迷子犬のご依頼相談は受けていない。
となると、Nはあえて違う写真を見せたに違いない。
それはきっと、女性が本当の飼い主様かどうかの最終判断を下す為の手段だったのだろう。
私から見ても、写真を見た後の女性の言動は信用に足りるものだった。
だからNは素直に非礼を謝り、保護しているワンちゃんの連れ出しをTさんにお願いしたのだ。
まったく……。
そういう作戦でいくつもりだったのなら、事前に教えておいてくれれば良かったのに!
とはいえ、知っていたら、わざとらしいリアクションをとってしまう可能性は否定できないが……。

一人フンガフンガしている私をよそに、Nは女性に伺った。

「ちなみに、あなたが捜されているワンちゃんはどんな毛色ですか?」
「体のほとんどが黒ですが、足先は白くて黒いぶち模様になっています」
「サイズは?」
「中型犬です」
「なら間違いないでしょうね。このワンちゃんが、今現在Tさんが保護なさっているワンちゃんの写真です。どうですか?」

女性は、涙目をぱちくりさせながらNが見せる写真を覗き込んだ。
途端に、喜々とした声をあげる。

「うちの犬です!」

この女性は本当の飼い主様だった!!!
自然、私とNの視線がぶつかった。

「そうですか。良かった。良かった」
「はい! 間違いなくうちの犬です!」

破顔したかと思いきや、今度はうれし泣きで再び涙する女性を見ていたら、私まで目頭が熱くなってきた。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉