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サービスエリアの空の下 1

つい先日。
良く晴れた日のことだ。
所用のため、私は高速道路のサービスエリアに立ち寄った。

緑豊かなそのサービスエリアは広大な敷地を有しており、その一部分にはドッグランが設置されている。
キラキラと降り注ぐ木漏れ日で、眩しい。
休憩がてら、所用に関する電話を済ませた私の視線は、そのドッグランに向かった。

移動中の車中に閉じ込められていた犬様たちが、そのストレスを発散するように、ドッグラン内を駆け回っている。
のんびりと寛ぐ犬様もいれば、食事にがっついている犬様も目に入った。
それぞれの様子を見守る飼い主様たちの表情は、総じて明るいものであり、穏やかな雰囲気に包まれている。

べつの一角に設けられたテラスに目を移せば、犬様連れではない方々が、各々の時間を過ごしていた。
ある方は、テイクアウトのご当地グルメを頬張りながら、笑顔を携えている。
ある恋人同士は手を繋ぎ合い、自分たちがまるで世界一の幸せ者であるかのように見つめ合っている。
ある家族は、たのしいひと時の思い出にと、写真撮影に夢中だ。

皆が皆、一様に幸せそうなので、所用で先を急ぐ私の心も、つられて穏やかになる。

”……さてと、そろそろ行かなくては”

ほんの一刻とはいえ、温もりある光景を目にするという恩恵を享受した私は、自分の車に向かって歩き出した。

その途中のことである。
駐車スペースから歩いてくる夫婦が、私の視界に入った。

前を歩く旦那はサングラス姿で、タバコを咥えている。
後ろからは、お揃いのサングラスをかけ、日傘を差しながら歩く奧さんが続く。
その二人が降りてきたであろう車種や、着飾ったブランド物の洋服から察するに、裕福な暮らしを送る夫婦なのだろう。

しかしながら。
裕福な暮らしを送っている割に、旦那の心にはマナーを守る意識や、他者を気遣う心の余裕がないようだ。
禁煙スペースにもかかわらず、悪びれる素振りは皆無で、咥えていたタバコに火をつけた。

”タバコは喫煙スペースで”

見かねた私が、マナー違反を注意しようと思った矢先のことだった。
ふいに、緑地が広がる方面を指さした奥さんが、微笑みを浮かべながら、自分の腕を旦那にからませた。

「ねえねえ、見て! かわいい!」
「……え、なにが?」

奥さんが指さした先に目をやった旦那が、小さくいう。

「おっ、猫か」
「うん。かわいいね」
「ああ」

二人の視線が集まる場所に目をやると、そこには二匹のキジ白猫様がいた。
身体の大きさから見て、まだ完全な成猫様ではないようだ。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉