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サービスエリアの空の下 10

「ほれ。お腹が空いているだろう? 美味しくはないかもしれないけれど、好きなだけ食べな」

男性は白猫様の真正面にしゃがみ込んだ後、保存袋に手を突っ込んで、キャットフードを一掴みした。
そのまま、手の平に乗せたキャットフードを白猫様に差し出す。
だがしかし、キジ白猫様たちの時と同様に、白猫様はその手をじっと見つめてはいるが、食べようとしない。

「……やっぱり、食べないか……」

ぼやいた男性は白猫様の近くの地面にキャットフードを置いて立ち上がり、私の方にとぼとぼと歩いてきた。
すると白猫様は、男性が地面に置いたキャットフードの匂いを嗅ぎ始めた。

それに気づいた男性は、驚きを含んだ笑顔を見せた。

「あ……見てくださいよ! 食べました!」

私は唸った。

「なるほど……」
「ん? 何がです?」
「いや、あくまでも私の見解ですが、あの子を保護するのに、さほどの時間を要しないかもしれないなと思いまして」
「え!? どういうことですか?」
「実はですね……」

私は『迷子ペット様捜索』パートナーをはじめとする、ペット様関連の仕事をしている身分を明かした。
これまでに、外で暮らす猫様たちの保護を手伝った経験があることも付け加えて話すと、男性の表情に明らかな期待の色が浮き出た。

「じゃあ、この子ら三匹の保護を手伝って頂けませんか!? お願いします!」

その真剣な眼差しを受け止め、私はいった。

「その前に、もう一度確認させてください。彼ら三匹は、本当に外で暮らしているんですよね?」
「はい。白猫は段ボール箱に詰め込まれて遺棄されていましたし、キジ白猫たちは白猫がここで産んで育てています。飼い主がいる猫ではありません」
「分かりました。では、もう一つ。仰っていた状況を鑑みるに可能性は限りなく低いと思われますが、万が一、彼ら三匹の飼い主様が現れて返還を主張された場合、きちんと話し合いに応じて頂けますか?」

どんなに酷い飼い主様であっても、この三匹の猫様たちが誰かに飼われている猫様だった場合、勝手に捕まえることはできない。
それを確かめるための質問だった。

「それは……やはり、応じなければいけませんかね?」

身勝手に彼ら猫様たちを遺棄した飼い主様に対して、”何故、話し合いなんかしなければならないのか”という男性の心情は理解できる。
それでも、だ。
余計なお世話かもしれないが、私はただ彼ら猫様たちとこの男性の暮らしが穏やかに流れることを願っているので、私見を述べさせてもらった。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉