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サービスエリアの空の下 103

「え!? ほとんど初対面なのに、抱っこして保護したんですか!?」
「ええ」
「さすが! すごすぎる!」
「いやいや。私がどうのこうのという話ではありませんよ」

警戒心を解き、心を開いてくれたのはキジ白猫様の方であり、それがなければ抱っこで保護なんてできない。
私が述べると、再度、F様の声が受話口から遠ざかった。
またもやA様に報告している模様だ。
電話の向こうで、二人が私を称賛している。

大袈裟だなあ、と思いながら、私は無言で待った。
そのまましばらく経った後、ようやくF様が喋り始めた。

「ところで、Kの手作り食はまだ残っていますか?」
「まだ残ってはいますよ。けれど、誘導する意図であちこちに設置したので、残りわずかではありますが」
「なるほど。確かに、サービスエリアって広いですもんね。あれっぽっちの量じゃ、そりゃあ、不充分な量でしたよね」

一見すると普通の受け答えに思えるが、私は若干の違和感を覚えた。
F様の声音が、どこか笑みを含んだものに聞こえたからである。

……一体、なにが、おかしいのだろうか?

私が不思議に思っていると、F様が続けた。

「もし、Kの手作り食が底をついてしまったら、その後どうするのですか?」

どうするもこうするもない。
随分と分かりきったことをいうものだなあ、と思った。
私は倣って、分かりきった返答をした。

「ほかのフードを用いるしかありませんね。しかしまあ、Kちゃんの手作り食ほどには、興味を示してくれない可能性が高いですが……」
「それは困りましたねえ。Kの手作り食がもっとあればよかったですよね」

なぜか、F様がうれしそうにいう。

……なんだ? なんだ?

まったくもって、わけが分からない。
私が狼狽の気を隠しきれずにいると、受話口から

「あっ…」

という小さな声が発せられ、ついで、F様とA様の意味深な笑い声が漏れてきた。
そして、その余韻を最後に、突如、電話が切れた。

ん……どういうことだ?

思わず、私は眉間にしわを寄せてしまった。
無意味に、手中のスマフォをじっと見つめる。

はてさて、どうしたものか……。

こちらからF様に電話をかけ直すべきなのかどうか、私は迷った。
仮に、なんらかの事情があり、F様が意図的に電話を切ったのだとしよう。
だとしたら、こちらから電話をかけ直すのはいかがなものかと考えた私は、F様自身から電話がかかってくるのを待つことにした。

それにしても、だ。
よもや私を嘲笑しているわけではないだろうが、電話が切れる間際の、F様とA様の意味深な笑い声が気になる。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉