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サービスエリアの空の下 106

「一人っていうと……そういえば、協力者の男性の方は、今どちらにいらっしゃるんですか?」

当然といえば当然だが、F様は疑問を口にした。
幽霊状態の”シロ”くんを追って草むらの中にいます、とはいえない。
上手く誤魔化す言い訳はないかと思案を巡らせていると、ふいに鈴音が聞こえてきた。

金髪男がいなくなってしばらくぶりに聞こえたものだから、私はつい、どこで鈴音が鳴ったのかを確かめようと首を回してしまった。
F様とA様にその所作を不思議がられてしまうかもしれない、とすぐに我に返ったが……そうはならなかった。
というのも、二人とも私と同じように首を回して、なにかを探っていたからである。
まさかと思いながら、私は質した。

「……どうかしましたか?」

先に応答したのは、A様だった。

「今……なにか聞こえませんでした?」
「なにか、とは?」
「鈴みたいな音……」

A様にも聞こえたのか、と私が驚いていると、F様がいった。

「あ、やっぱり聞こえた?」

頷いたA様とF様は、周囲に目を配り直している。

なぜ、二人にも鈴音が聞こえたのか、理由は分からない。
一つだけいえるのは、私の錯覚ではない、ということだ。

何度も周囲を確かめたが、結局、鈴音の正体を掴みきれていない二人は、無言で私を見つめてきた。
私も、言葉を発さずに見つめ返す。
すると、痺れを切らしたA様がいった。

「……聞こえましたよね?」
「鈴音、ですか?」
「そうです」
「まあ、聞こえましたけど……。ちなみに、どこから聞こえましたか?」
「うーん……どこからなのかは、はっきりと分かりません。そんなに遠くから聞こえたわけじゃないと思うんですが、近くでもないような……」

首を傾げているA様を援護するかのように、F様が私に訊ねてきた。

「車内にいる親子の猫って……首輪はしていないですよね?」
「してません」
「じゃあ、違うか……。ボクたち、鈴音が鳴るようなものをもっていないしなあ……。なにか、持ってます?」
「いいえ。私も持っていません」
「そうですか……。だとしたら、どこから聞こえてきたんだろう。不思議だなあ……」

私と二人が合流してから今現在までの間、自分4たち三人の周りには人がいない。
先ほど鈴音が聞こえてきた際も、私たちの近くを行き来する人はいなかった。
さらにいうと、辺りに駐車されている車はといえば、一番近くの車でも、私たちの位置から10メートルほど離れていた。
しかも、その車内は無人状態である。
どう検証してみても、周囲で鈴音が鳴る状況ではなかった。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉