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サービスエリアの空の下 113

「……お宅さんが住宅街に移動して捜索を行うことに異論はありません。けども、そのための車はどうするのですか?」

予想していた男性の問いに、私は答える。

「そのことなのですが、お願いがあります」
「なんですか?」
「ご存じのように、私の車には二匹が乗っています。二匹を連れたまま移動することもできなくはないですが、負担を考えますと、連れ回すのは得策とはいえないでしょう。最善の注意を払うのは当然ですが、私が車の乗り降りをする度に、逸走のリスクも伴うわけで」
「そうですね」
「ですので、私の車は使用せずにいたいのです。代わりに、車を貸して頂けないでしょうか?」

男性が答える前に、F様が口を挟んでくる。

「だったら、ボクらの車を使って頂いても構いませんよ。Aと張り込みをしている間は、使用しませんし」
「お気持ちはありがたいのですが、F様とA様には、ご自分の車の中に乗ったままの張り込みをお願いしたいのです。あちこち歩き回ったり、長時間立ちっぱなしでいるのは、慣れていないと、想像以上に体力と集中力が削られてしまいますので」

加えて私は、

・ご自分たちの車を、草むらに近い駐車スペースに移動してもらうこと
・車内での張り込み中、周囲の音(猫様の鳴き声・捕獲器のフラップが閉まる音などを聞き逃さないために、車の窓を開けておいてもらいたいこと
・私がサービスエリア内に戻ってくる前に、仮にキジ白猫様を保護できた場合、その状況によっては、一時的にご自分の車の中に入れて保護してほしいこと

などを話した。

F様は納得を示した。

「なるほど。では、そうします」
「お願いします」

そういった後、私は男性を見た。
事情を理解した男性が、自分の車の鍵を取り出しながらいう。

「そういうことなら、どうぞ遠慮なく、車を使ってください」
「ご協力、ありがとうございます。もし、草むらの中でキジ白猫様を抱っこなどで保護できた場合も、F様たちの車の中で保護しておいて頂けますか?」

男性がF様とA様に目をやると、二人は了解を示す意思で頷く。
三人に向かって、私は続ける。

「それと、キジ白猫様が捕獲器に入った場合は、車の中に動かさず、私に連絡をください。ついでに、私が戻ってくるまで見張っておいて頂ければ助かります。捕獲器ごと、私の車の中に入れたいと思いますので」

三人に話し終えると、私は最後に、念押しで注意を促した。

「とにかく、なにかが起きた場合には自己判断せず、私に連絡をしてください。あと、必要な時にいつでも連絡が取れるように、お互いからの着信にはすぐ気づけるようにお願いします」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉