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サービスエリアの空の下 115

私はさして労せず、Hさん宅を見つけた。
男性から聞いていた通りだ。
Hさん宅も隣近所も、それぞれが広い敷地を有していて、納屋もある。
Hさん宅と畑との間を隔てている壁も、すぐに見つけられた。

昨日の深夜、この壁の上を歩くキジ白猫様の姿を、男性は目撃したわけか……。

周囲を見回すと、なるほど、外灯の数が少ない。
これでは、深夜帯は真っ暗に近いだろう。
『目視だけで行方を見届けてください』とお願いしたものの、男性がキジ白猫様の行方を見失ってしまったのも頷ける。

キジ白猫様は今、Hさん宅の敷地内にいるのかなあ……。

そんなことを思いながら、Hさん宅と畑を隔てている壁脇の小道で私は佇んでいた。

すると突然、壁の上に猫様が現れた。
Hさん宅の敷地内から飛び乗ってきたと思われるその猫様は、残念ながら、私が捜しているキジ白猫様ではない。
男性が見かけたという黒猫様(※詳細は過去ブログ『サービスエリアの空の下 48』を参照)と同一なのかは分からないが、私の視界に入ってきたその猫様も黒猫様だった。

それにしても、大きい黒猫様だ。
というより、明らかな肥満体型である。
その身体でひょいと壁の上に飛び上がるのだから、さすが外で暮らす猫様だ。
運動神経に感心する。

黒猫様の体型を見る限り、エサやリをしている家は、やはり数か所に及ぶのだと考えられる。
そうなると、お腹を空かせている状態でエサを求め、辺りをうろつく猫様は少ないだろう。
空腹を感じれば、ねぐらを出てエサが置かれている場所に向かい、空腹感が満たされれば、ねぐらに戻って昼寝、という行動パターンが主なのかもしれない。
その一連が、どなたかの私有地内で完結してしまえば、容易にその中を覗き込めない第三者が猫様を目撃する確率は必然と下がってしまう。
さらには。
苦労なくエサを調達できるとなると、捕獲器の中に入ってくれる確率にも影響が及ぶことは必至だ。
以上のことから、サービスエリア内でキジ白猫様の保護活動を行った方が、まだ期待を持てるような気がした。

考えを巡らせていると、ふいに視線を感じた。
その視線を辿った先はHさん宅の敷地内で、そこには、小道で佇むこちらに注目しているご婦人の姿があった。
Hさん宅の家主様であろうと判断した私は、深々とお辞儀をして話しかけた。

「こんにちは」

私の存在が、ご自身の見覚えのある訪問者かどうか確かめるように、ご婦人は目をこらしながら応じる。

「……こんにちは」
「はじめまして」

私のその挨拶で、自分の知らぬ人物だと認識したご婦人は、不思議そうに訊ねてきた。

「……どなた様ですか?」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉