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サービスエリアの空の下 116

この近辺でキジ白猫様を捜していることを、私は告げた。
するとご婦人は、ぽかんとした表情でいった。

「はあ……猫を捜しているんですか?」
「ええ」
「飼い猫ですか?」
「いや、飼い猫ではないのですが……」
「飼い猫ではないのですか? というと……」

このまま誤魔化し続けると、不審に思われてしまう危険がある。
キジ白猫様を保護しようとしている事情を、私はご婦人に話した。
私の話に時折相づちを打ちながら、すべてを黙って聞き終えたご婦人は、

「……へえ、猫の保護をお手伝いしているのですね。それにしても、親子が離れ離れとは、かわいそうに……早く保護できるといいですね」

と心配顔を浮かべた。
ご婦人の様子を見ている限り、その言葉は本心だろうと思う。
これならば、今後の協力を仰げそうだ。

私は迷わず、

・ご婦人宅の敷地内にて、今までにキジ白猫様を見かけたことがあるか
・見かけたことがあるのだとしたら、キジ白猫様はどの場所で、なにをしていたのか
・近所に生息する野良猫様は何匹ほどいるのか

などを訊ねた。

すると、ご婦人がにっこりとして答えた。

「キジ白猫なら、見かけたことがありますよ」
「本当ですか!?」
「ええ。ただ……青っぽい色の首輪が付いていますので、誰かの飼い猫だと思いますけどね」
「そうですか……。ちなみにですね、その首輪には、鈴がついていましたか?」
「いや……それはないと思いますよ。鈴の音を聞いたことはありませんし」

ということは、男性が深夜に目撃したキジ白猫様は、その子だった可能性も否定できない。
僅かに浮かんだ疑心を解決するべく、私は質問した。

「ところで、敷地内のどの辺で、その子をお見かけになることが多いのでしょうか?」
「うちの納屋に停めてあるトラクターの運転席で、です。そこが、とてもお気に入りのようで」
「そうなのですね」
「ほかに、そこの壁の上でも、昼寝をしていることがありますよ」

ご婦人が指し示した場所は、Hさん宅と畑を隔てている壁だった。
目をやると、先ほど現れた肥満体系の黒猫が、まだ同じ場所にいる。
それを見て、ご婦人が付け足した。

「そうそう。ちょうど、あの黒猫と同じようにして昼寝してます」
「体格も似たような感じですかね?」
「そうですね。あの黒猫も私が見たことあるキジ白猫もそうですが、ここら辺の猫は皆、体格が大きいです」
「どなたかがエサをあげてるから、ですか?」
「そうでしょうね。ご近所さんの庭には、いつでも沢山のキャットフードが置いてありますし」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉