新着情報

サービスエリアの空の下 124

それにしても……と、私は首を傾げた。
鈴音がこちらへと近づいて来ているのは、その音の軌道から、もはや間違いはない。
間違いはないのだが……同時に違和感もある。

普通は、何かしらの音が自分の方へ近づいて来れば、それに伴い、聞こえてくる音量も大きくなる。
当ブログ読者の方々においても、そのことについて異論を挟む人間はいないであろう。
けれども、当該鈴音に関してはそうでないので、私は違和感を感じているわけだ。
聞こえてくる鈴音の音量に、まったくといっていいほど変化がないのである。

それに、だ。
そもそも、距離的に考えれば、普通は聞こえないであろう場所から鈴音は聞こえてきた。
過去ブログ『サービスエリアの空の下 121』で書いたが、はじめに鈴音が聞こえてきた方向は、サービスエリア内と住宅街を隔てているフェンス付近よりも、こちら側付近に近いと思われる場所からだった。
常識的に考えれば、決して大きくはない鈴音が聞こえる距離だとは思えない。

しかも、私がいる現在地のすぐ脇の県道では、法定速度超過で行き交う車が騒音を撒き散らかしている。
その騒音にも負けず、鈴音くらいの小さな音が聞こえ続ける理由は、私には分からない。
分からないが……鈴音が聞こえているのは事実であった。

もちろん、サービスエリア内で鈴音が聞こえてきた時も、はじめは私一人の勘違いや空耳の可能性を考えた。

その時の自分は、過度な寝不足や疲労の蓄積で、肉体的に不健康であったか――
その時の自分は、極度の落ち込みや悲しみで、精神的に不安定な状態であったか――
その時、自分の周囲で鈴音を鳴らす人物や物が存在したか――

そんなふうにして、勘違いや空耳によって鈴音が聞こえた、という様々な可能性や要因を考察してはみたものの、結局は、どれも当てはまらなかった。
肉体的にも精神的にも私は正常であったし、鈴音を鳴らす人物や物が自分の周囲に存在していなかったのは確かである。

付け加えて。
鈴音が聞こえてきたのが、私一人の勘違いや空耳のせいではない、という事実を知った。
全部が全部同じタイミングではないにせよ、一緒にキジ白猫様を捜索している男性にも、鈴音が聞こえているらしい。
それだけではない。
捜索の手伝いに来て頂いているF様とA様にも、鈴音が聞こえていた。
こうなると、鈴音が聞こえてきたのを、私一人の勘違いや空耳のせいにはできない。

ただし。
男性やF様とA様に対し、聞こえてくる鈴音の音量の変化については、まだ確認していなかった。

まあ、いずれにせよ、だ。
ご年配の女性にも鈴音が聞こえている可能性は考えられるので、確認してみる必要があるだろう。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉