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サービスエリアの空の下 13

捕獲器を受け取ったF様は、直ちに設置作業に入った。
設置場所は、あらかじめ相談して決めた位置である。

その日に捕獲器の中に仕掛けたエサは、普段から食べ慣れているドライフードにした。
けれども、二日間に渡って仕掛け続けたそれには、残念ながらKちゃん保護には至らなかった。
Kちゃんの目撃情報は、相変わらずない。

焦るF様は、べつの場所への設置を試みたい旨を私に申し出た。
その気持ちは、痛いほど理解できる。

それでも私は、同場所に捕獲器を設置し続ける方が良いと、自分の意見を述べた。
ただし、捕獲器の中に仕掛けるエサを追加することを変化に加えた。
F様との話し合いで決定したそれは、手作り食である。
手作り食の方がドライフードよりも匂いが拡散しやすいので、Kちゃんを捕獲器の中へ誘導するには悪くない考えだ。
もちろん、その手作り食には、Kちゃんをはじめとする猫様たちに有害な食材は一切使用していない。

手作り食を仕掛けるにあたって有益な根拠は、もう一つある。
Kちゃんは昔、体調を崩し、食欲低下に陥ったことがあるそうだ。
その時に、F様は手作り食をKちゃんにあげたという。
すると、食べ慣れたドライフードには口をつけなかったKちゃんが、ものすごい勢いで食したらしい。
ならば、その時に使用した食材と同じもので作った手作り食を捕獲器の中に仕掛けてみよう、となったわけである。

結果は、すぐに出た。
手作り食を仕掛けてから一時間後、Kちゃんは捕獲器の中に入ってくれた。
手作り食は完食されており、さながら食休みをしているかの如く、捕獲器の中にいたKちゃんはスヤスヤと眠っていたそうだ。

その吉報を運ぶ電話を受けた私は、労いとお祝いの言葉を差し上げてから、F様にお願いをした。

「Kちゃん共々、落ち着いてからで構わないので、捕獲器を郵送して頂けますか?」
「分かりました。本当にありがとうございました。アドバイスをしてくださったおかげで、Kを無事に保護できました」
「すべてはF様とKちゃんが頑張った結果です。なんにしても、一度、Kちゃんを動物病院に連れて行ってあげてください。逸走中に、不健康を被る何かがあったかもしれないので」
「そうですよね……。Kの様子を見て、大丈夫そうな時に、かかりつけの動物病院へ連れて行きます」
「ぜひ、そうしてあげてください」
「それで、その……」

弾んだ声からは一転、急に言葉につまったF様の態度が気になり、私は尋ねた。

「……どうなさいましたか?」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉