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サービスエリアの空の下 14

「もしも、こちら方面にお越しになることがありましたら、家に立ち寄って頂けませんか?」

思わぬ申し出に私が戸惑っていると、F様は続けた。

「お忙しいでしょうことは、重々承知しています。ですが、ぜひとも家に立ち寄って頂いて、今回、無事にKを保護できた御礼を直接会ってお伝えできればと」
「それならば、こうして電話で御礼を頂戴しておりますよ。それで充分です」
「いえ……その……」

何やら、よっぽどの理由がありそうである。
その理由を勘繰るまでもなく、F様の方から口にした。

「……実はですね、Kの飼い主はボクじゃないんです」
「はい!?」

さすがに、驚いた。
まさか、実は誰かに飼われているKちゃんを、この男が捕獲器を用いて略奪したとでもいうのか!?

だとしたら、とんでもないことに加担してしまった。
たとえ正式なご依頼ではなく、アドバイスを提供して捕獲器を貸しただけとはいっても、現にKちゃんは飼い主ではない男の手に渡ってしまっている。
本当の飼い主様がこの事実を知らずに、まだ必死で捜索しているのだとしたら、酷くいたたまれない。
同時に、自分を騙したこの男に、私は怒りを覚えた。

だがしかし、怒り任せに詰め寄った挙句、この男が行方をくらませてしまうなどしたら、Kちゃんを取り戻す機会を失ってしまう。
なので、私を怒りを抑え込みながら、つとめて冷静に会話を再開した。

「Kちゃんの飼い主様ではない、というのは一体どういうことでしょうか?」
「そのままの意味です」

私の怒りを煽ろうとたのしんでいるのだろうか……男はそれ以上話そうとしない。
その手に乗るつもりは毛頭ない上、黙られたままでは埒が明かないので、私は一つ呼吸を吐いてから、つぎの質問を男に投げた。

「先ほど仰ったことが本当ならば、Kちゃんの飼い主様はべつにいるということですよね?」
「はい」
「あなたはKちゃんの飼い主様ではないのにもかかわらず、Kちゃん保護の相談電話をかけてきて、私から捕獲器を借りたのですか?」
「はい。そうです」
「なぜ……ですか?」
「どうしても、Kを捕まえたかったからです」

そこまでして、この男がKちゃんを捕まえたい動機は何だったのだろうか……。
怒りはまだ収まらないものの、その動機が気になった私は、さらに質問を重ねた。

「では、質問を変えます。本当の飼い主様ではないのに、無事にKちゃんを保護できた御礼を直接会って伝えたい、と仰った理由はなんです? 口から出任せでいっただけですか?」
「いやいや。そんなつもりはありません。御礼を伝えたいのは、本当に本当です」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉