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サービスエリアの空の下 2

キジ白猫様たちがいる辺りをよく見てみると、”なにか”が散らかっているのに、私は気づいた。
二匹は鼻をクンクンさせながら、その”なにか”に吸い寄せられていく。

奥さんもそれに気づいたらしく、声を弾ませた。

「誰かがエサをあげたみたいね。ほら見て。二匹とも、美味しそうに食べてる」
「本当だ。野良のくせに、贅沢なものを食べてるな」

贅沢なものといっても、それはサービスエリア内の店舗で買ったと思われる、揚げ物の類だった。
含まれる塩分や油分を考えれば、猫様の身体にとって、およそ健康的な食べ物とはいえない。

それを知ってか知らずか、奥さんは旦那にお願いした。

「ねえ、私たちもエサをあげようよ」
「え? エサなんて持ってないだろう?」
「買ってくればいいじゃない」
「サービスエリアに、キャットフードなんか売ってないだろ?」
「キャットフードじゃなくても、ほら。あそこの店に”美味しそうなもの”が売ってるわ」

奥さんがいう”美味しそうなもの”とは、ご当地肉を焼いた”串もの”だった。
たっぷりのタレで味付けされたものだけに、これまた、猫様の身体に良い食べ物とはいえない。

だが、そんなことなどお構いなしに、旦那はいった。

「わかったよ。買いに行ってくるから、ちょっと待ってろ」
「ワタシの分もよろしくねー」
「おお」

旦那は吸っていたタバコを地面に投げつけ、”串もの”を買いに向かった。

”タバコの吸い殻は灰皿に”

立て続けにマナー違反を繰り返す旦那を見逃せず、私は追いかけることにした。
間もなく旦那との距離は縮み、いざ指摘をしようと思った時、背中の方で叫び声が弾けた。

「いやあっ!」

叫び声の主は、奧さんだった。
苦々しい表情を浮かべながら、後退りしている。
気づいた旦那は振り返り、小走りで奥さんに駆け寄った。

「おい、どうした!? 大丈夫か!? なにがあったんだ!?」
「……あの猫、いやあっ!」
「……ん!?」

一瞬、旦那が不思議そうなリアクションを取ったのも無理はない。
さっきまでの奥さんは、猫を見て『かわいい』を連発していたし、その猫のために、旦那は今まさに”串もの”を買いに向かっていたのである。
それなのに、だ。
今や奥さんは、猫に対して嫌悪感を露わにしている始末。

その態度の急変に、私も首を傾げた。
理由を知りたくて近づいたところ、奥さんが旦那にいった言葉が聞こえた。

「見てよ、草むらからこっちに歩いてくるあの猫! 薄気味悪い!」
「どれ……うわあっ! 確かに気持ちわりーな……」
「でしょう!?」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉