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サービスエリアの空の下 32

「落ち込んでいる暇はありませんよ。二匹がねぐらから離れているならば、それはそれで、残っている一匹を保護するチャンスです」
「……そうですよね」
「それで、ねぐらに残っている一匹というのは?」
「母猫です。白猫の」

現時点で、動物病院での診察・治療を一番急いだ方が良いと思われる猫様だ。
このチャンスを逃したくない。
私は男性に告げた。

「残りの二匹は後回しにして、ねぐらにいる一匹の保護を、今すぐ開始したいと思います」
「分かりました!」
「私はこれから、もう一度車に戻って、保護用に用意したエサを取りに行きますので、移動した二匹が姿を現すかどうか、ここで引き続き張り込みをお願いします」
「一匹でも見かけたら、直ぐに電話します」
「よろしくお願いします」

車に急いだ私は、F様・A様から頂戴した手作り食を保冷バックの中から取り出した。
そして、解凍が進んでいる部分を割り、残りは保冷バックの中に戻した。
つぎにトランクを開けて、エサ用のボウルにそれを入れた後、後部座席に置いてあった捕獲器の中に設置した。
それから、水用のボウルとバスタオル、捕獲器を持って、白猫様がいる草むらに向かい、男性に電話をかけた。

「こちらに来て頂けますか? 私は今、草むら前にいます」
「見えます」

短く答え、男性は私の元に走ってきた。

「この水用のボウルに、できればお湯を入れたいのですが、用意は可能でしょうか?」

私の問いかけに、男性は得意げな表情を作った。

「フードコート内にある店舗にお願いして、もらってきますよ。いつも利用していて、店員は顔見知りなので、お湯くらいはもらえるはずです」
「助かります」
「じゃあ、ちょっくら行ってきます」

そういって駆け出した男性が戻ってきた際、その手にはヤカンを持っていた。

「とりあえず、多めにもらってきました!」
「ありがとうございます」
「でもまだ、猫が飲むには熱すぎるような気が……」
「お湯を用意してもらったのは、飲ませるためではありません」
「え? じゃあ、お湯は何に使うのですか?」
「こうやって、です」

私はヤカンに入ったお湯を、エサ用のボウルに注いだ。
解凍していく様子と共に、手作り食の匂いが立ち昇るのを見て、男性がいった。

「なんだか、人間でも食べられそうなエサですね」
「食べられますよ。使っている食材は、人間が口にしても問題ない代物ですし」
「へえ、そうなんですか。さっき出掛けていた用事先で、わざわざ作ってきたのですか?」
「いえいえ」

Kちゃんを保護した際に使用した手作り食であること、それをF様・A様から頂戴したということを、私は男性に話した。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉