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サービスエリアの空の下 34

ほどなくすると、捕獲器の設置を終えた男性が戻ってきた。
私は確認した。

「ねぐらの様子に変化はありませんでしたか?」
「はい。警戒されないようにできるだけ遠目から確認しましたが、白猫はまだ、ねぐらにいました。ほかの二匹は相変わらず姿が見えません」
「そうですか」
「ところで……」

男性は、少し首を傾げて聞いてきました。

「捕獲器のフラップの向きをフェンス側にしたのは、なぜですか? 白猫がねぐらから出て真っ直ぐフェンス側に向かったとしたら、入り口が逆になるので、入りにくいと思うのですが……」
「そうですね。確かに、入りにくいでしょうね」
「え?」

当惑ぶりを隠せない男性に、私は意図を説明することにした。

「仰っていたことから判断するに、あの子は捕獲器を警戒している可能性があります」
「そうだと思います。だけれども、その時は素人の自分が、深い考えないし捕獲器を設置しただけですし、今回は、仕掛けているエサが違います。あのエサは、自分が仕掛けた時のような安物のドライフードよりも、白猫にとってよっぽど魅力的な感じがします」
「私も、それを期待しています。あの子は今、お腹を空かせている状態ですしね」
「だったら尚更、入り口の向きは、ねぐらに向けた方がいいのでは? その方が、簡単に捕獲器に入ってくれそうじゃないですかね?」
「まさにその点がキーポイントになると、私は思っているんですよ」
「どういうことですか?」
「捕獲器は密閉された作りではないので、エサの匂いは自然と周囲に広がります。ですので、あの子がエサに気づくのは時間の問題でしょう。当然ながら、同時に捕獲器の存在にも気づくわけです」
「はい」
「捕獲器の中に仕掛けたエサに気づいたあの子は、先ず、どういう行動に出ると思いますか?」
「……捕獲器に対して警戒しつつも、中のエサを食べようとする……ですか?」
「そうですね。では、捕獲器の中のエサを食べるには、あの子は、どうしなければなりませんかね?」
「中に入るしかない、ですよね?」
「はい。けれども、あの子の中で、捕獲器に対する警戒心のハードルが下がっているわけではない以上、簡単には入ろうとしないでしょう。その状態のまましばらく様子を見た挙句、あの子は捕獲器の中のエサを諦めるかもしれません」
「……でしょうね」
「そうしたら、あの子はつぎに、どんな行動に出ると思いますか?」
「つぎ、ですか? うーむ……お腹が空いている状態は続いているので、べつの場所へ、エサを探しに行くのではないでしょうか?」
「私も、そう思います」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉