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サービスエリアの空の下 40

フェンスの向こう側の幹線道路沿いの民家に男性が向かってからしばらくは、私が張り込みをしているサービスエリア内の方で際立った動きはなかった。
保護しようとしている三匹はおろか、べつの猫様も、姿を現さない。

時間の経過と共に、サービスエリアに立ち寄る人間の姿も確実に減っていた。
たまに現れても、トイレに一直線か、自動販売機や売店でそそくさと買い物を済ませるか、フードコート内での食事に向かうかである。
建物の外を歩いている人間は、喫煙所を目指すか、ゴミ置き場にゴミを捨てにくる者がほとんどだ。
私が張り込みをしている、三匹の猫様たちが移動しているであろう草むら周辺に近づく者はいない。

とはいえ、騒々しくないこの状況は猫様たちが動きやすい状況といえるので、私の集中力は自然と高まった。

男性からの電話を見逃さなかったかどうか、スマフォの着信履歴を一応確かめたが、まだ連絡は来ていなかった。
ついでに、設定したタイマーの残り時間を確かめる。
あと三十分弱だ。

長いようで短いその時間内に、三匹の猫様たちの動きを目視できるかの保証はない。
それでも、私の内にはなんとなく、動きがあるとの予感があった。
確固たる根拠はない。
強いていえば、経験からくる予感だと思う。

ふと、大型トラックのドアが開いた音がどこかから聞こえた。
その方向を探ろうと思って何気なく首を回すと、一台のトラックから男が降りてきた。
長距離ドライバーだと思われるその男は、車内で眠りについていたのだろう。
寝ぐせらしきものを側頭部に携え、大きな欠伸をしている。
男はまだ重そうな瞼をこすりながら、私が張り込みをしているベンチに向かってダラダラと歩いてきた。

歩いている途中、羽織っている作業着の胸ポケットに手を突っ込んだかと思うと、おもむろにタバコを取り出し、口に咥えた。
どうやら、喫煙所を目指しているようだ。

喫煙所は、草むらから、四、五メートル離れた位置にある。
私が張り込みをしているベンチから目に入る位置だ。
よって、男がそのまま喫煙所の中に吸い込まれていく姿を、私は見ていた。

数分後。
一服を終えた男が、欠伸をしながら喫煙所から出てきた。
すかさず、両手を上げて大きく身体を伸ばし、続いて前屈を始めた。

その際、胸ポケットに入っていたライターが地面に落ちた。
だが、男は頭がボーっとしているのか、それに気づかないまま歩き始めてしまった。

私はライターを落としたことを男に告げるべく、ベンチを離れた。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉