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サービスエリアの空の下 42

草むらの葉を揺らしながら、私の両目は茶色猫様の姿を捜した。
見える位置にはいない。
鈴音も聞こえない。
私の行動に気づいてくれて、草むらの奥に進んで身を隠しているのかもしれないが……。
なんにしても、である。
その姿を目視できなければ安心はできないので、草を揺らしたり動きを止めたりしながら、私は五感を研ぎ澄ませ続けた。

それでも茶色猫様の姿を見つけられなかった私は、べつの行動に出ることにした。
とはいっても、草むらの中に入れない以上、やれることは限られている。
草むらの際に沿って歩き、広範囲に目を光らせるしかない。
加えて、目視できる可能性を少しでも上げるために、F様・A様から頂戴した手作り食の残りを草むらの際に置くことにした。
持ち歩いていた保存用ビニール袋に私は手を突っ込み、一口大に取り分けながら、それらを一定間隔で置いていく。

大まかではあるが、草むらの際に手作り食を置き終えた頃、設定していたタイマー機能が作動した。
本来ならば、このタイミングで一度、捕獲器の様子を確認したいところではあったが、イレギュラーな茶色猫様の登場があったので致し方ない。
むしろ、さらに時間を空けてから確認した方がいいかもしれないと思った私は、タイマー機能を再度いじり、一時間後に設定した。

続けて、私は男性に電話をかけた。

「現場には、もう到着していますか?」

歩きながらなのか、男性の呼吸は若干、乱れていた。

「はい。夜間帯なので、予想よりも早く到着できました」
「そちらの様子はどうですか?」
「まだ歩き始めて間もなくなので、今のところ、まだ、一匹の猫も見当たりません」
「エサ置き場の方は?」
「そちらに関しても、まだ発見できていません」
「そうですか。こちらには、動きがありました」
「え!? 三匹のうち、誰かの姿を目撃したのですか!?」
「いいえ。そうではなく、べつの子が姿を現したのです」
「べつ?」

茶色猫様を目撃した経緯を、私は話した。

「自分を含めた従業員は、今までにほかの猫を見かけたことがなかったのに、さすがですね。それにしても、首輪がついている猫ってことは、飼い猫なのでしょう?」
「でしょうね」
「となると……やっぱり、こっち側の住宅街から、そっち側のサービスエリア内に移動しているわけか……」
「間違いないでしょう」
「となると……三匹も、こっち側とそっち側を行き来していても不思議じゃないですね、やっぱり」
「そう考えた方が自然だと思います。それで、ですね……」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉