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サービスエリアの空の下 43

ひょっとしたら、茶色猫様が捕獲器に入ってしまうかもしれない事態と、それを懸念した私が現在行っている作業のことを伝えると、男性は低い唸り声を漏らした。

「なるほどですね……」
「というわけで、もう一時間ほど、そちらで捜索をお願いできますか?」
「了解しました。引き続き、なにか動きがあり次第、連絡します」
「こちらも、そうします。では」

通話を終えた私は、再度、草むらの際を行ったり来たりしながら、茶色猫様の目撃及び付けていた首輪の鈴音、捕獲器のフラップが閉まる音に神経を集中させた。
そのままゆっくりとした足取りで歩き続け、およそ三十分が経過した頃、私は喫煙所付近の草むら際にいた。
その辺りに置いた、一口大の手作り食が食べられているかどうかを、確認するためである。

しかし。
期待に反して、その場所の手作り食はまだ残ったままだった。

ふぅ……。

一息ついた私は、手作り食を一定間隔に置いた、つぎの場所に目をやった。
すると……。

ん?
もしや……。

遠目なので絶対とはいえないが、そこに設置したはずの手作り食が無くなっているように見えた。
焦らず歩を進め、徐々にその場所に近づくと、手作り食は無くなっていた。

誰が口にしたのか……。

この時点では、判断できない。

だがしかし、だ。
周囲で、鳥や野生動物の存在を見かけていない。
歩いている人間も私以外にいないので、誰かが片付けたわけではないだろう。

となると、猫様のうちの誰かが食べている可能性が高い。
そう睨んだ私の視線は、自然と、手作り食を一定間隔に置いた、さらに向こうの場所へ向いた。
すると……。

あっ!

そこには茶色猫様の姿があった。
手作り食の匂いにつられて、近寄ろうとしている。

私は静かに距離を縮めた。
そして、茶色猫様との距離が四、五メートルに縮まったところで、しゃがんだ。

茶色猫様はこちらを見た。
が、逃げ出そうとはしないで、手作り食に鼻を寄せて嗅いでいる。

私はその場でじっとしながら、茶色猫様の様子を見つめていた。
直に、茶色猫様が手作り食を口にした。
その後、再び私を見る。

”どう? 美味いか?”

私が尋ねると、茶色猫様が鳴いて反応した。

”美味い。美味い。もっとくれ”
”さっき、べつの場所のも食べたでしょう?”
”食べた。食べた。もっと食べたい!”
”しょうがないなあ……ほら、あっちにもあるよ”

私は、手作り食を一定間隔に置いた、さらに向こうの場所を指さした。
茶色猫様が、私を見上げる。

”どこ? どこ?”
”あっちだってば”
”どれ? どれ?”
”しょうがないなあ……ほら、ついておいで”

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉