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サービスエリアの空の下 50

「私としては、今はまだ、保護するチャンスだとは思いません。ですから、その位置から動かずに、目視だけで行方を見届けることを続けてください」
「……うーむ……」

私の忠告に、男性はあからさまに不服そうな息を漏らした。
それでも私はめげず、自分の考えを重ねた。

「たとえ今見失っても、不必要に警戒心を煽らなければ、その近辺に再び現れるはずです」
「……けれど、そのチャンスがいつ訪れるかは分からないじゃないですか? 一刻も早く保護した方が良いという考えについては、お互いに共通認識ですよね?」
「そうですよ。ただし、一刻も早く保護したいという気持ちが、少しでも高い確率で安全に保護する方法の邪魔になる場合が多々あります。それを裏付けるそちらの現状として、外灯が少なくて暗い、というのが挙げられます」
「日中ならば平気だと仰りたいわけですか? だったら、こんな遅い時間帯に捜す意味はないのでは?」
「意味があるかどうかの判断基準がどこにあるのか分かりませんが……少なくとも、この深夜帯に、その場所で、その子を目撃しているわけですよね?」
「それは……まあ……」
「しかも私は、今さっき、一匹を保護しました。日中ではない、今さっき、です。両者は事実で、予想や予感の類ではありません」

加えて、である。
男性が今目視している場所は公道だとしても、キジ白猫様を追いかけるとなると、おそらくはその途中、私道や私有地に足を踏み入れなければならなくなるタイミングが来るはずだ。
だが、暗くて視界が悪いとて、他人が勝手に私道や私有地に入り込むことになれば、それは問題になる。
今、男性がいる辺りで、これから先も連続して捜索を続けなければならなくなった際のことを考慮すれば、周辺住民との関係は良いものにしておくことが重要で、私道や敷地内に勝手に入り込むなどして不必要な問題を生じさせるべきではない。
私道や私有地にどうしても立ち入りたいのならば、地主なり持ち主なりに許可取りをすることが必須である。

それらをまくし立てると、男性は反論の余地がないのか、ずっと黙っていた。
私は話すテンポを落として、男性に理解を求めた。

「焦らずに地道な努力をしていれば、保護する絶好のチャンスは必ずやってきます。ですから今は、その位置から動かずに、目視だけで行方を見届けてくださいませんか? お願いします」
「……分かりました。指示に従います」
「ありがとうございます」
「とはいえ、ですね……」
「なんでしょう?」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉