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サービスエリアの空の下 52

過去ブログ『サービスエリアの空の下 45で、保護したキジ白猫様と私を引き合わせてくれた茶色猫様に、

”ありがとう! あっちの方にも、同じものが置いてあるから食べていいよ”

と告げていたので、何か所かの手作り食は、すでに茶色猫様が食べてしまったかもしれないと予想をしていた。

だが。
実情はそれに反し、手作り食の残り量に変化は見られなかった。

茶色猫様はあんなにも美味しそうに食べていたし、まだまだ満腹ではないだろうに、どこかべつの場所に行ってしまったのだろうか……。

そんなことを思いながら、私は草むらの奥に目をやった。

茶色猫様は、まだこの付近にいるのだろうか。
はたまた、すでにフェンスの向こう側の住宅街に移動してしまっただろうか。

草むらの奥に意識を向けていると、やがて、その方向から鈴音が聞こえた。
間違いない。
茶色猫様の首輪に付いていたものである。
サーチライトよろしく上下左右に視線を這わせながら、草むらの中を私は注視した。

ところが、だ。
茶色猫様は草むらの中からではなく、私の右後方から姿を現した。
位置的にいうと、喫煙所がある方向に近い。

一体全体、いつのまに草むらの中から移動してきたのだろう……。

さすが猫様だ。
気配を消す能力に長けている。
感心している私に、茶色猫様が近寄ってきた。
そのまま、私の足に身体をすりつける。
そんな茶色猫様に、私は聞いた。

”もうお腹いっぱいになったの?”
”まだまだ”
”じゃあ、なんで、さっき教えてあげた場所のものを食べてないの? 場所が分からなかった?”
”そうじゃないよ”
”ん? どういう意味?”

私の質問に、茶色猫様はごろりと横になってから反応した。

”こういう意味だよ”
”え?”

そんなふうに寛いでいたから手作り食をまだ食べてない、という意味なのだろうか……。
手作り食が置いてある場所が気に食わないから食べていない、という意味なのだろうか……。

ごろりと横になった茶色猫様の行動からどんな意味合いのメッセージを受け取ればいいのか、正直、私には分からなかった。
そんな私の狼狽ぶりにしびれを切らしたらしく、茶色猫様はいった。

”あれは本当に美味いから食べるよ。場所は確認済みだから、これから食べに行くつもり”
”そうなんだ”
”その前に、捜してたんだよ”
”……捜してた? なにを?”
”まったく! 人間ってやつは、猫と比べると察しが悪いなあ”
”それについて争うつもりは毛頭ないよ。だから、なにを捜していたのか、もうちょっと分かりやすく教えてほしいのだけど……”

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉