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サービスエリアの空の下 56

キジ白猫様を保護し、車の後部座席で待機してもらっている理由を説明し終えると、じっと耳を傾けていた白猫様はすうっと動いた。
そのまま車の後部座席のドアの方に二、三歩近寄り、車内に向かって鳴き声を一つ投げる。

”心配?”

そう聞いた私にも、鳴き声を上げてきた。

”だよね……”

後部座席にいるキジ白猫様は、キャリーケースの中に入っている。
そこからキジ白猫様を出して、白猫様と対面させることはリスキーなので、さすがにそれは出来ない。

それでも、白猫様が我が子を案ずる気持ちを汲めば、このまま無視を決め込むことは憚られた。
保護という名目があれど、それはあくまでも私や男性の主張に過ぎないわけで、白猫様が我が子に抱く母性という感情を押しのけてまで貫き通す正当性があるとは、私には思えないからである。

ならば、キャリーケースを車外に出し、白猫様と対面させてあげる手段はどうだろか……そんな考えがふいに過ったが、即座に却下した。
キャリーケースの入口開閉部分がしっかり閉まっていることを、先ほど車から離れる際に確認済みだとはいえ、親子対面で興奮し、キジ白猫様に暴れられでもしたら、なにかの拍子で入り口部分が開いてしまうかもわからない。
路上でそうなってしまっては、瞬時に保護することは難しいだろう。

せめて、白猫様を抱っこできれば、そのまま一緒に車内に乗り込み、キャリーケース越しにでもキジ白猫様と対面させてあげられるのに……。

私がもどかしさを覚えている最中、白猫様は後部座席のドアに寄り掛かるようにして立ち上がった。
その体勢のまま首だけを回し、私を見つめて鳴く。

”……そうだよね。心配だよね……。会いたいよね……”

すると、唸るように息を吐いた私に、茶色猫様がいった。

”難しく考え過ぎないで、車のドアを開けてあげればいいんじゃん”

さも当然の如くいうその意見に、私ははっとした。

”そうか! そうだよね。それだけでも、様子を確認できるよね!”

キャリーケースの開閉部分の隙間から、という条件付きにはなるが、白猫様が今やっているように立ち上がった姿勢で車内を覗き込めば、キジ白猫様の姿を見ることは確かに可能だ。
開けた後部座席のドアの隙間を塞ぐように私が立っていれば、万が一、キャリーケースの入口開閉部分がなにかの拍子で開いてしまっても、車外とは違って対応しやすい。
後部座席のドアを直ちに閉めることによって、とりあえずは逸走を防げる。

私は、白猫様とキジ白猫様に親子対面させることを決断した。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉