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サービスエリアの空の下 58

対面を果たした白猫様とキジ白猫様は、見た感じ、落ち着いていた。
車のキーをロックさえしておけば、とりあえずは、このままで問題なさそうだ。

茶色猫様に目をやると、手作り食をすでに完食していた。
私は微笑み、いった。

”それにしても、よく食べるね”
”だって、美味いから!”
”だからってさ、食べ過ぎには気をつけなよ”
”食べられる時には食べなきゃ。食べられない日もあるからね”

茶色猫様はさっき、

”毎日同じ場所にあるエサもあれば、ないものもあるからね”

といっていた。
”毎日同じ場所にあるエサ”というのは、誰かが行っているエサやリのことだろう。
そのエサ置き場の一つが、『サービスエリアの空の下 51』で書いた、Hさん宅の敷地内である可能性はある。
それを、茶色猫様に確認したい気持ちはやまやまだ。

けれども、おそらくそれは無理な相談だと思えた。
たとえ、

”エサが置いてあるのは、Hさん宅の敷地内?”

と尋ねたとしても、茶色猫様が人間の苗字まで把握しているとは考えづらい。
せいぜいが、こんな感じの場所、という理解に過ぎないだろう。
建物の色や形を認識しているのかも定かではない。

実際に、Hさん宅前で同席して、

”ここにエサが置いてあるの?”

と聞けば、”そう”とか”ちがう”とかを返事してもらえるかもしれないが、そのために茶色猫様を捕まえて連れて行くのは、さすがに躊躇を覚える。
そうなると、私がHさん宅前で張り込みをして、茶色猫様が現れるのを待つしかない。
しかし、そのタイミングに出くわすまでにどれくらいの時間を要するかの予想は困難だ。
何日もかかるかもしれない。
その点でいえば、はたして、Hさん宅前での張り込みが効率的なのかどうか、悩みどころであった。

ああでもないこうでもないと考えを巡らせていると、茶色猫様が滑らかな動作で立ち上がり、歩き出した。

”今度は、どこに行くの?”
”べつに、どこってことはないけどね”

そうはいったものの、茶色猫様は迷うことなく、一直線に歩いて行く。
フェンスが広がる、草むらの中だ。
ここまでの過去ブログで何度か書いている通り、フェンスの向こう側には幹線道路があって、それ沿いには民家がある。
Hさん宅も、その一帯だということは、男性に確認済みだ。

茶色猫様がそちら方面に向かう途中のどこかで、保護しようとしているもう一匹のキジ白猫様と出くわすことがあったら、また私のもとへ導いてくれるといいな……。

そんな期待を抱きながら、私は茶色猫様を見送った。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉