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サービスエリアの空の下 59

車内にいる白猫様とキジ白猫様の親子は、引き続き落ち着いた様子であった。
車を離れても、ドアをロックしているので逸走の心配はないだろう。
だが、距離と移動速度を考えれば、Hさん宅の敷地内に入ったと思われるもう一匹のキジ白様がこちらに戻ってくるには、まだ早すぎると思われる。
であるならば、サービスエリア内を無理に急いで捜し回ることはない。
男性が到着するまで、なんらかの変化が生じないか、車内にいる白猫様とキジ白猫様の親子を見守っていた方が無難だろう。

そのまま無事に時間が経過した後、男性が到着した。
駐車場エリアに入ってきた際、私が自分の車の横に立っている姿を確認したのか、すぐ近くに駐車する。

「どうも」

降車してきた男性が、私に軽く頭を下げた。
その表情から察するに、キジ白猫の姿を見失った自己嫌悪を未だに引きずっているようだ。
私の察しは当たっていたようで、しばしの沈黙後、案の定、男性は詫びを述べてきた。

「キジ白猫の行方が分からなくなってしまい、本当に申し訳ありませんでした。お役に立つどころか、足を引っ張ってばかりですよね……」
「そのことは、もういいですって。まだ捜索は続くわけですから、あまりくよくよせずにいましょう」
「はあ……」

覇気のない溜息交じりの返事を漏らした男性は、自分の至らなさを持て余しているように首筋を掻いている。
このままの調子では、やりにくい。
男性に、覇気を取り戻させる必要がある。

とはいえ、難しいことではない。
幸いにして、私にはそのためのネタがあるので助かった。

「報告があります」
「なんでしょう?」
「これ、です」
「……はい?」

男性は、固まったままの表情でクエスチョンマークを浮かべている。
私は、自分の車の後部座席指さし、男性を促した。

「覗いてみてください」
「あ、そうでした! 保護したキジ白猫が、車の中にいるんですね!」

一瞬で表情を変化させた男性は、踊るような足取りで私の車に寄り、車内を覗き込んだ。

「うわああ……って、え!? えええっ! うおおおおおっ!」

後部座席のドアにめり込むのではないかと思うほど顔を密着させて、男性はよろこびを爆発させた。
そのせいだろう。
車内の様子を窺うと、白猫様もキジ白猫様も目を丸くして縮こまっている。
私は男性の肩を叩き、静かにするようにとジェスチャーで示しながら、いった。

「ほら。そんなに大きな声を出したから、二匹が怖がっていますよ」
「あ、そうでした……びっくりして、ついつい……」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉