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サービスエリアの空の下 61

「この後は、先ず、どうしましょうか?」

茶色猫様の心配をしていた男性は、車内の白猫様とキジ白猫様にもう一度目を戻しながらいった。

遅かれ早かれ、白猫様とキジ白猫様を男性の家に連れて行くことになる。
ただし、それは今すぐにではない。
目下のところ、捕獲器の状態確認が先決だ。
Hさん宅の敷地内に入ったと思われるもう一匹のキジ白猫様が、草むら付近にまだ戻ってきていなくても、茶色猫様を含めたべつの生き物が捕獲器の中に入ってしまっている可能性は否定できない。

そのことを話すと、男性は頷いた。

「じゃあ、早速、様子を見に行ってきます」
「お願いします」

草むらの中に小走りで入って行く男性を見送ると、間もなくして、私のスマフォが着信を知らせてきた。
男性からだ。

草むらの中から出て来ないで電話をしてきたということは、なにかしらの動きがあったのかもしれない……。

私は着信に応じた。

「どうしました?」
「あのですね……」

声を殺してしゃべる男性は続けた。

「キジ白猫じゃないんですけど、今、捕獲器に近づいている猫がいます」
「どんな子ですか?」
「茶色猫です」
「首輪は付いていますか?」
「たぶん……鈴の音が聞こえましたから」
「先ほど話しましたが、その子はおそらく、白猫様を私の元へ導いて保護に協力してくれた子です」
「ああ、やっぱり……この茶色猫が、その猫なんですね」
「それで、その子が捕獲器の中に入ってしまいそうなのですか?」
「距離的には、今すぐってわけじゃないだろうと思います」
「そうですか……」
「どうしましょう? 捕獲器のフラップを閉めて、入り口を塞ぎましょうか? それとも、捕獲器に近寄らないように追い払いますか?」
「不必要に驚かせてしまいかねないので、どちらも、しなくて結構です。なにもせず、その子にご自身の姿が見える位置で立っていてもらえますか? その子が捕獲器から離れて、姿が見えなくなるまで」
「分かりました。では、いったん、電話を切りますね」

通話を終えた後、私自身も草むら際のぎりぎりまで行って様子を見届けるべきか考えた。
過去ブログ『サービスエリアの空の下 51』で綴った失敗例があるので、男性が勝手な行動に出るとは思わないが、捕獲器の中に入ってしまうかはべつとして、茶色猫様の行動が気になる。

それに、だ。
もしかしたら、もうすでに、キジ白猫様を捕獲器へと誘導してきてくれたのかもしれない……。
淡い期待を抱いた私は、車のドアがロックされているのを念のために再確認し、草むらの際に向かって歩き出した。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉