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サービスエリアの空の下 66

幽霊や心霊現象に関する知識について、男性も詳しくはないらしい。
それもあって、自分の発言に自信は持てないという。

「……そうだとしても、です。やはり、”シロ”が止まっていた状態からばっと動き出した時に鳴る鈴音にそっくりなんです。さっきの鈴音は。信じてもらえないかもしれませんが……」

ここまで主張をするからには、男性の耳には確かに”シロ”くんの鈴音に聞こえたのだろう。
繰り返し述べるが、幽霊や心霊現象に関する知識不足が故、本当に”シロ”くんの鈴音だったかどうかの判断基準を私は持ちえない。
であるからして、男性のいっていることを真っ向から否定できない自分がいた。

「先ほどもいったように、私は、”シロ”くんが付けていた鈴音を存じません。それも加味しつついえるのは、私もさっきの鈴音を聞いている事実がある、ということです。その鈴音が”シロ”くんが鳴らしたものであろうが、ほかの子が鳴らしたものであろうが、事実は事実として私は受け入れています」

結局のところ、信じるか信じないかについて判断を下せるとしたら、それは茶色猫様と”シロ”くんが止まっている状態を目の前にして、交互に、ばっと動き出してもらい、その時に鳴る鈴音を聞き比べるほかない。

しかしながら、”シロ”くんは亡くなっているし、聞き比べのためだけに茶色猫様を捕まえることはしたくないので、上記は実現不可能である。
よって、信じるか信じないかの判断を下すことについてこれ以上考えるのは時間の浪費にしかならないと私は思った。
だからといって、そんなふうにストレートな表現で伝えたら、男性はきっと気落ちするであろう。
ならばこそ、私は話の矛先を変えた。

「誰が鈴音を鳴らしたのか、よりも私が気になっているのは、どうして鈴音を鳴らしたのか、についてです」
「……といいいますと?」
「鈴音を鳴らしたのが”シロ”くん又はほかの子だとしても、私たちに鈴音を聞かせてくれた理由があるのではないでしょうか?」
「理由、ですか……たとえば、どんな理由なのでしょう?」
「自分でいっておいてなんですが、正直、分かりません。理由をつけて自分を納得させたいのかもしれません。単に、その理由を知りたいという興味も含まれます。それにしたって、もしも、ですよ? 自らその理由を知ろうとするなら、知ろうとしないことで知ることが叶わないなんらかの結果を知り得るかもしれません」
「そうですね。私も知りたいです。誰かが聞かせてくれた鈴音の理由を……」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉