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サービスエリアの空の下 7

男性は、地域猫様の保護活動をなさっている知人に相談し、捕獲器の使用も試みたそうだ。
だが、白猫様にとって、段ボール箱に無理やり詰め込まれた過去がトラウマになったのかもしれない。
又は、そもそも外で暮らしていて、捕獲器使用によって捕まった過去が白猫様にはあったのかもしれない。
いずれにせよ、白猫様は捕獲器の中に仕掛けたエサには見向きもしなかったという。

「そういう嫌な経験をしたならば、捕獲器に近づかないのも、無理はないかもしれませんね……」

私の言葉に、男性は物憂げな表情を浮かべた。

「そうなんですよ。だから、白猫の皮膚病は、悪化を辿るばかりで……。なのに、見ているだけしかできない自分が、どうにもこうにも不甲斐ないですわ……」
「もしも、ですが……」
「はい?」
「もしも、この白猫様を保護できたとしたら、どうします?」
「そりゃあ、直ぐにでも動物病院に運んで、適切な治療を受けさせるつもりです」
「残された子どもたちは?」
「そうですよね……。ある日突然、親猫の姿が見えなくなったら、不安になりますよね」

男性は口ごもったまま、猫様たちを交互に見つめている。

私は何も、男性を責めるつもりで質問を投げたわけではない。
白猫様を保護することに伴う覚悟と責任が確固としたものかどうかを、知りたかっただけである。

キジ白猫様たちは子猫様といっても、まだ赤ちゃんというわけではないので、それぞれが一人でも生きていけるだろう。
毎日のエサを誰かから貰えている現状、先天性の疾患を抱えているか車にさえ轢かれなければ、直ちに命が危険にさらされることはなさそうだ。

ただし、私には気になることがある。
先ほどの光景を見た限り、親である白猫様は、自分の子であるキジ白猫様たちに、先にエサを食べさせていたからだ。
それは、白猫様がキジ白猫様たちに寄せる愛情であることは間違いないだろうと、私には感じられた。

その点を加味すれば。
保護という名目にせよ、離れ離れにすることによって被る悪影響は、キジ白猫様たちよりも、白猫様の方が大きいように思われた。
子どもたちと引き離される不安や見知らぬ動物病院に連れて行かれることなどがストレスに繋がり、免疫力が低下することも懸念される。
せっかく白猫様の健康回復を願っているのに、そうなっては元も子もない。
だからこそ、この白猫様を保護することには、それ相応の覚悟と責任が必要だと私は考えたのだ。
男性にそれを伝えると、低く唸り、しばらく黙って考え込んでいた。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉